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『ひよっこ』から『かいじゅうたちのいるところ』とドキドキ学園を思い出した

 仕事柄、部屋には諸先輩方が書いたドラマや映画の脚本集が50冊以上あります。たぶんプロにしては少ないほうだと思うけど、どうなんだろう。朝ドラの脚本集では『あまちゃん』と『ごちそうさん』は買ったけど『ひよっこ』は持ってません。本棚の大きさを、というか部屋の広さの関係で、あと懐事情も考えると欲しい本を片っ端から全部買うわけにもいかず、吟味した結果です。でも本当は『ひよっこ』も欲しい。脚本の勉強というよりは、ただただ好きなので、『ひよっこ』は。

 夕方に2話ずつ再放送している『ひよっこ』を毎日録画しています。保存用として。Blu-ray BOXを購入するという選択肢もあるしオンデマンドに登録すればいつでも観られるけれど、やはりスペース的に懐事情的に厳しい。だから毎日録画しています。こういう世の中になってからは画面の上と左に新型コロナ関連情報が表示された放送になってるけれど、それでも録画しています。してました。してたのに。第90話の録画に失敗しました。
 なんてことだ。
 ここまで録り溜めてきたけれど、コンプリートできないのならいっそ全部消してしまおうか。

 映画『かいじゅうたちのいるところ』を思い出しました。
 主人公の男の子・マックスが「かいじゅうたちのいるところ」へ行く前、お姉ちゃんに仲間外れにされて一人部屋で暴れ回るシーン。大事なものを自ら壊してしまうところ。大事なものだからこそ、思い通りにならないのが我慢ならない。そしてすぐ後に後悔。
 「わかる、この感情」と胸が締め付けられたことを覚えてます。同じような気持ちになったことがあったので。

 子供の頃、ドキドキ学園のシールを集めていました。ドキドキ学園というのはお菓子の名前。ウエハースチョコにおまけのシールがついてるんだけど子供にとってはシールにおまけでお菓子がついてるという認識のいわゆる食玩で、学園と名がつくわりに学園要素はほとんどなく正義と悪が戦う系の世界観のもと、イイ者悪者どっちのどんなキャラクターのシールが入ってるかは開けてみないと判らないという、有名なビックリマンチョコの二番煎じです──と書いてから、実はビックリマンよりもドキドキ学園が先にあったランチパック現象だったりして、と調べてみたらしっかりビックリマンチョコが先でした。
 ランチパック現象とは、ほぼ同じ形のスナックサンドという商品が別の会社から出ていて、知名度の低さから後発商品かと思いきや実はスナックサンドのほうが歴史は長い、というやつです。

 話は戻ってドキドキ学園。袋のバーコードを集めたか当たりのシールが出たかして、景品をもらいました。キャラクターたちが相関図的に描かれたポスターみたいな一枚絵で、まだシールでは手に入れてないキャラクターも並んでいる完璧な布陣。飽きもせずずっと眺めていたものです。かっこいい。かっこよかった。かっこよかったのに。ある日、兄とケンカして、その拍子に破れてしまいました。
 なんてことだ。
 今思えば破れたのはほんの5㎝くらいのものだから、テープで修復すればまた眺めることも出来たはず。けれど完璧な宝物だったからこそ、完璧でなくなってしまったことが我慢ならず、自分でビリビリに破って捨ててしまいました。そしてすぐ後に後悔。

 『かいじゅうたちのいるところ』の終盤、仲良くなったかいじゅうがマックスと同じように大事なものを自分で壊して、それを見たマックスはどうしたんだっけ、忘れてしまった。
 私はというと、録り溜めてきた『ひよっこ』を全部消すことはせず、でも完璧ではなくなってしまったので全部残すのも諦めて、選りすぐりの回だけ保存しようと吟味しているところです。
 大人になりました。そうでもないか。

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