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住宅展示場で営業担当者とお客様の最初のきっかけづくり[自己開示]

お客様は話してくれない

住宅展示場を初めて訪れるお客様や住宅についての詳しい知識を持たないお客様にとって、家づくりは複雑なプロセスで、多くの要素がからみあいます。そのため、住宅会社はお客様の詳細な情報を把握する必要があります。初対面のお客様は、自身の個人情報を知らない相手に提供することに慎重であることがよくあります。
多くの住宅会社は、最低限の情報を収集するためにアンケートなどを使用することがあります。しかし、お客様にアンケートに協力してもらうことは容易ではありません。お客様にとって、どの会社か、どの担当者かわからない状況で個人情報を提供することには警戒感があるからです。
この慎重さは理解できます。ですが、お客様との信頼関係を築くためには、この壁を取り払う必要があります。

そこで自己開示

お客様の警戒心を薄れさせ、関係を深めるために最初に実施する有効な手段として、自己開示があります。
自己開示とは、営業担当者が個人的な情報を提供することによって、お客様に対して「私は信頼できる存在である」という安心感を抱かせる方法です。営業担当者は、趣味、出身地、実績、または家族についての自身の個人的な情報を提供し、お客様との共通点を見つけ出すことで、対話を円滑に進め、警戒感を軽減するのです。
「あ。この人こんな人なんだ。話し合うな」と思ってもらえれば成功です。
個人的な自己開示だけでなく、会社に関する情報を提供することも有効です。会社の歴史、代表者の言葉、過去の施工事例などを共有することで、お客様は営業担当者や会社に対する警戒感を下げて、信頼を高めることができます。

具体的な自己開示の例

例1
みなさまは、外食などよく行かれるんですか?
私は、結婚してからはあまり外食しなくなったのですが、それでもラーメンが好きなのでたまに遠くまでラーメン屋巡りをしています。

→住宅購入者の主要ターゲットである30代前後の男性の外食ランキング上位はラーメンであるため、会話が盛り上げるのに役立ちます。
女性営業担当者が奥様に投げかけるときは「ラーメン」を「カフェ」に置き換えます。
このような自己開示からのたわいのない質問により、「ラーメン」や「カフェ」で「あそこの店知っている」「あそこは美味しい」などと、盛り上げればそれてよし。
「外食しない」となればキッチンのコーナーで料理についての話をすればよいとなります。

例2
お子様は習い事をされていますか?私の子供はスイミングにいかせています。

→習い事の上位は「水泳」や「英語教室」です。もし、水泳をやっていたら「私の子供はクロールができるようになったくらい。お客様の子供はどうですか?」等々、共通項を見つけ出し、警戒心を下げていきます。
水泳を習っていなければ、他にどんな習いごとをしているのか?はたましていないのか?これから習わせようと思っているのかを聞きながら、話題を広げて行きます。
お子様の習い事でご夫婦の教育方針やお子様の年齢、構成、年収も把握できるきっかけになります。

来場者の顧客属性・ターゲット属性

いろいろな住宅会社があるわけですが、どの住宅会社も主力となる住宅商品のコンセプト(性能重視・デザイン重視・価格重視等々)や価格帯は決まっています。また、建築対応可能なエリアも決まっています。そうなるとその住宅会社と相性が良い顧客属性・ターゲット属性はおのずと決まってきます。
もちろん集客やブランディングにおいて、なるべくそのような層が来場するように努めていますので、来場可能性の高いターゲット像に合わせた自己開示・自社開示パターンを構築しておけば、お客様の警戒心を下げるトークもパターン化されていきます。
つまり、高価格帯の住宅会社であれば「ラーメン」の話よりも「教育」や「車」の話の方が良いわけです。

話が合うというのはつくられた錯覚かもしれないけれど

お客様が営業担当者とのコミュニケーションを通じて信頼感を築くことは、家づくりプロセスを円滑に進める重要なステップです。
顧客との関係を深め、お客様が安心感を持ちながら情報を提供しやすい環境を整えていきます。
関係性・環境ができれば、多くのお客様はあの営業担当者と話があった、よくわかってもらえたから家づくりをすすめることにした。となるわけです。顧客属性に合わせた接客トークを実施していくので当然といえば当然のことになります。
もしかすると営業担当者は「ラーメン」もそこまで好きではなく、「子育て」もきちんとできていないかもしれませんが、そのように関係性をつくるようにしている勉強しているということはお客様にとって価値があることになります。

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