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はじめての短歌(著者:穂村 弘)

ジャンル:短歌

満 足 度:★★★★★


〇感想

 全くなじみの無かった分野の本を読んでみたいと思い、手に取った一冊。短歌に関する知識はほぼ皆無だったが、短歌の少ない文字数から生み出される様々な想像、余白が非常に面白い。似たような言葉でも表現が違うだけで、読み手の想像の幅がこんなにも変わるのかという驚きもあった。

 「結果」や「効率」という現代で重要とされている概念に息苦しさや疲れをという人におすすめ。

 ※2022年にこの本は読みましたが、私の2022年7選でもご紹介しております。よろしければこちらもどうぞ。

〇印象に残ったこと

「生きのびる」「生きる」の世界

・「生きのびる」・・・お金を稼ぐ、睡眠をとる、食事をする、コンタクトレンズをつけるなど、ハッキリしている

・今の社会は「生きのびる」世界が重要視、強制されているが、それは世界全体でそうしようと望んだ結果

・「生きる」は、個人によって異なり曖昧

・非効率、無意味、お金にならないもの、唯一無二の生の追及⇒「生きる」

短歌は、「生きる」世界の言葉に価値を見いだす。したがって、短歌では価値の無いものに価値があったりと、価値観が逆転する。

・短歌では断定せずに、曖昧なぼやっとした言葉の方が、言葉そのもの以上の物語が生まれ、価値が出る

・良い人生の1つの尺度:死ぬ日に覚えている思い出が一個でも多い人生

・いい短歌は社会の網目の外にあって、お金では買えないものを与える

・短歌の読み方が分かれば、他人の気持ちが分かる、自分の言葉で伝えられる、コミュニケーションが出来る

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