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女史の言葉に ひと筋の光を感じた・・

No.6 順風満帆な日々だけじゃない ・・ から続く♪

♪ 高校1年10月初旬。音大女史 門下生の会で、
 自分より ずっと🎻violin歴の長い(と思われる)、上手な
ジュニアオーケストラの伴奏で、当時の私の実力では
キツイ、Mozart の 🎻violin concerto No.5 ヴァイオリン協奏曲 第5番 1楽章の ソロパートを弾いた。
さいわいにも、本番当日だけ ギリギリ弾けた(とても自分で満足できる出来ではない)状態。

♪ このまま続けても、学業と両立させながらの violin で音大受験は

 ムリなんじゃないか・・・きっとムリだ・・・

 思い切り涙を流した後、辞める決意をして、門下生の会の後の初レッスン(翌々週)に おそるおそる先生宅を訪れた どらみ。


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常に持ち歩き、書き込みだらけ・・ボロボロになったMozart 🎻協奏曲5番の楽譜♪


♪ 門下生の会の翌週レッスンは休みだったので 2週間のあいだに、
  同じ Mozart のコンチェルト、第2楽章を 自分で予習してくるように いわれていた。テンポはゆっくりだけれど、自分のアタマの中にある
美しく流れるような演奏が 思い通りにできていない。

時おり、あ、今の音は綺麗に弾けたかも、というレベル。
現在使っている 4代目の楽器🎻に比べると、ものすごく古い楽器で、
パーン!と明るく輝くような音色、音量は
出なかった。後日、この楽器は少人数の室内楽向き?音に迫力がないけれど、その分、柔らかく 耳に優しいかもしれない。

(この楽器は、角も丸くなるくらい古いドイツ製🎻。黒っぽい松材の表板は薄く、少し強く扱うと、ひびが入ったことも^^; →音大入学後、2年間弾いていたが、その後、3代目に替えてから、実妹(故人)に使ってもらった。)

2楽章のような 緩徐楽章(ゆっくり)で、あまり音量も要らない、
どちらかというと「歌う」表現は、右手の弓コントロールを上手にできれば
この楽器でも対応できる・・・そういう雰囲気。

♪ 音大女史の前で 🎻楽器のtuning(調弦)を済ませ、
  とにかく 自宅で練習した分だけ Mozart の2楽章を弾いた。全部は練習できておらず、途中でストップ。


今、使っている楽器(4代目)Kyrie のスクロール(🌀部分)手彫り +糸巻(ペグ)は
イタリアの職人さんの手になるもの。細かい彫刻と小さな象牙。美しいが、湿度が高いと回すのに力が要り(木が膨張するため)、手が痛い(笑)乾燥する季節は逆に木が収縮して緩みやすい。



♪ ここで 音大女史に「今までお世話になりました。先生のご指導を受け、私なりに上達できたところもありますが、ジュニアオーケストラの皆さんの演奏を目の当たりにして、これ以上、私が🎻violinを続けても
彼らのレベルには 今から追いつけない・・・そう感じました。
とても残念ですが、先生の貴重なお時間を 私のために割いていただくのは申し訳ないと思い、今回で辞めようと・・・」

♪ 譜面台の向こう側で 静かに 私の落ち込んだ言葉を聴いていた女史が、口を開いた。

♪ 先生の言葉は 私が予想していたものと ちがった。

 傍らに メモ帳のような 小さな紙があり、そこに ざっと 

 細長い 三角形のような図を えんぴつで描いて 私に見せると・・・

 (↓ これは 記憶に基づいて どらみが てきとーに描いた図。

  先生が描いた ざっくり三角形とは ちょっと違うけど^^;)

当時の記憶を頼りに、細長三角形を ちょっと🗻富士山風にデフォルメした図。



♪ 女史の口から発せられた言葉は、
「わかったわ、辞めるのね。いままでお疲れさま」 の類ではなく、


♪ 「さっき弾いた 2楽章。 今日、初めてよね。教えていないから

 自分ひとりで 考えて練習してきたのよね?」という 問いかけだった。

♪ え? ちょっと意表を突かれたけれど、

「はい。あまり時間取れませんでしたが、

できる範囲で さらってみました。(中間試験は 高校になり、授業が二期制になっても 相変わらず10月半ばくらいで試験勉強が必須だった)
イメージ通りに弾けず、やっぱり
才能がないのではないかと・・・」

♪「ねえ、こういうこと考えたことないかもしれないけど・・・(上のような図を ささっと描いて私に見せる・・)

音楽でもね、いろいろなことがあるけれど 🎻の演奏に関しても

めざす ゴール(到達したい頂上)は、皆 多かれ少なかれ同じだと思うのよね。

技術(演奏テクニック)も優れていて、かつ 音楽性豊かな、美しい表現ができる。 自分も人も心地よい演奏。それが理想。そう思わない?


♪ 「はい・・・(仰せの通り、と内心 そう思うが言葉が出てこない)」

♪ この間のジュニアオーケストラで弾いていた子たち、うちに来ている
 幼稚園、その前くらいから始めて🎻弾いてきた子たちは、

 この図の右側・・・どちらかというと、自分で意識しないうちに、
 レッスンを重ねて、手指の動き、弓のコントロール・・・運動神経が鍛えられて、あまり考えずに 弾けるようになっている人が多いの。

♪ でもね・・・彼ら、彼女たちも、少しずつ大人になるにつれ、
 今度は「内面=音楽性、感情表現」で 成長してもらわないと

 技術と感性、両面を兼ね備えた演奏=GOAL に たどり着けないの。」

♪ 「あなた(どらみ)が さっき弾いた 2楽章の途中までだけど・・・
  『楽器で歌う』・・・あなたは そちらの部分に長けている。
  技術が追いついていないから 自分の思い通りの表現が できていない、 と 自分でイライラしたり、もうダメだ、と思う気持ちも よくわかるわ。

  でもね、運動神経で バリバリ 音だけは速く正確に弾けます、という
  生徒さんたちは、楽器を「歌わせる心」を磨きたい、そちらの面を高めたいと思っているのよ。





  だからね

GOAL は ひとつ

同じなんだけれど、 

この図の右側のように、運動神経側から 頂上を目指す人と

あなたのように 左側、感性、表現の側から 頂上を目指す人、両方いるの。

  で、最初から 両方できる人は 本当にごく稀にしかいない。

  あなたは、「感情、表現」の側が優れているので、

  反対側の「技術面」を これから 高めていけば GOALに たどりつけるのよ。


♪  今、ここで「辞めます」といって レッスンをやめてしまうには

  あなたの「表現したい気持ち、感性」をおもうと、

  もったいない! 運動神経・・・演奏に必要な技術は

  たくさんあるけれど、ひとつひとつ 頭で理解して練習していけば

  必ず身につけられる。

  もう少し 一緒に がんばってみない?」

ハナミズキの紅葉 (音楽関係ない^^;)




♪  音大女史は 私の泣きそうな目を しっかり見つめて話をしてくれた。

  14歳の夏の終わりに入門して以来、女史と 直接 ここまで深い話をしたのは 初めてだったかもしれない。

♪  女史の言葉は 軽いものではないが、
   私を門下生のひとりとして 単に引き留めようという意図ではない、 と感じた。    (音大受験、合格するかどうかは別として)

  親のような感覚で、もう少し 自分も伴走するから

  一緒に 努力してみないか? 

♪  あなたには、辞めてしまうには惜しい、良いところがあるのだから

  今から 不足している部分を補いつつ、自分の理想とする音楽に

  一歩一歩近づけるように がんばってみないか? 

  誠意と優しさが 私の心に じわーっと沁みる お話だった。



♪ この日のレッスンで、決別するつもりだった 🎻violin レッスン。

 女史の真剣な言葉に 心打たれ、もう少し続けてみようかな、と 心が揺れた。

 この先の道が 決して平坦、容易いものでないことは重々わかっているけれど。

(音楽関係ないけれど 晩秋の花 ツワブキ)




♪ 音大受験→合格すること、が 全てではない、と自分で意識していても、高校の担任教諭、音楽教諭、両親、学校の同級生・・・
中学から遅く始めた🎻で 私が音大受験挑戦。
どこまで通用するのか?
直接言葉に出さずとも、周囲から それとなく期待されているのは、
高校生になった時点で すでに感じていた。




♪ 辞めない→ 学業と両立させながら、日曜日全ても音楽レッスンに捧げ、

 自由時間 ほぼなし・・という生活を続けることになる。

 それが100% 苦痛でしかないなら、誰が何と言おうと「辞めた」と思う。


 
♪ 針の穴を抜けて射しこんでくるような

 ごくごく細い希望の光を 女史の言葉の中に見出して 私は続けることにした。

♪ それは「あなたには まだ上を目指せる可能性があるよ」
   
 私自身が、女史の言葉を そういう意味に受け取りたかっただけなのかもしれないけれど・・・



♪ 女史の言葉、語り口の真剣さ、優しさ、励まし・・私に対する

 思いやりが嬉しく、もう少しがんばろうと レッスン前までの 気持ちを覆した。

 


中学時代 ソロを弾いた 二人の憧れ先輩たち



♪ 付属高校に進学していたけれど、なんと高校には「弦楽部」がなく!(4歳年下の妹が進学した時にはできていたらしい)、一人は 軽音楽でviolin🎻ではなく 文化祭でカッコよく「ドラム」を叩いているのを目撃!

♪ もう一人の 少し静かなタイプの先輩は、他大学(医療系?)進学を目指して、高校では🎻は弾かず、勉学に励んでおられたような。(高校はクラス編成、当時の校舎、教室配置もフクザツで 接点がないとなかなか校内でもお会いできなかった)

♪ 通年の弦楽部(部活)活動はなく、私は何を思ったか(笑)、
どこか あまりきつくない部活には所属してみたく・・・高1の1年間だけ、なんと「生物部(水生生物=プランクトン)」に入部し、週1回だけ、学校内の防火水槽(しか水がなかった 笑)に プランクトンネットを投げ、捕獲できた 淡水プランクトンを顕微鏡で覗いては、水生生物(プランクトン)図鑑で「ワムシ」「ミジンコ」など 多種類のものを「同定(きちんと どの種かを判定する)」し、レポート提出・・なんていうこともしていた。 


♪ 夏合宿では横浜国立大学の海洋生物研究所を 先生方が借りてくださり、2泊3日だけ、海のプランクトン(淡水とまるで異なる)、ウニの幼生、細胞分裂の様子を夜中まで 顕微鏡のぞきながら 時系列レポート書いたり・・・翌朝は 漁師さんたちの地引網に 体験参加させてもらい、
大量の小鯵をいただいて 朝食に手開きで食べたり、網にかかった 3種類もの 小型のサメのうち ごく普通のサメを解剖したり(生臭かった^^;)、
女性の厳しい先生が、砂浜でもう息絶えている・・と思われた ネコザメ(シマシマで性格が狂暴)に 足先を噛まれ 病院へ搬送、というハプニングがあったりしたけれど・・・

♪ こうして 私は 基本「🎻violin を がんばる人(多分^^;)」 を 当面 続けることになった。 (続く)

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