見出し画像

『映画妖怪シェアハウス-白馬の王子様じゃないん怪-』ネタバレなし感想・レビュー

2020年の7月クールにテレビ朝日のナイトドラマ枠にて放送された『妖怪シェアハウス』、2022年の4月クールに放送された『妖怪シェアハウス-帰ってきたん怪-』の劇場版である。

主人公の目黒澪が、妖怪達の暮らすシェアハウスに暮らす妖怪達の厄介になりながら、悪い人間によってもたらされる厄災、闇堕ちした妖怪を浄化する為に立ち向かっていくというホラー・コメディである。

その劇場版ということだが、基本的にドラマシリーズの良い適度に緩い空気感と軽快なレギュラーメンバーによる掛け合いは大切にされているので、ドラマシリーズから観ている人間としても、特に気持ちを新たにしたり、認識を改めることなくは入り込むことができた。

そして、やはり見所は、今や飛び鳥を落とす勢いの人気女優、小芝風花さんの、コメディエンヌっぷり、そして、シリアスな演技、泣きの演技…素晴らしい演技や表情を楽しめることにあるように思う。

コロコロと喜怒哀楽、様々な顔の表情を自然に出来るのが彼女の演技の素晴らしい点ではないだろうか。そんな彼女や、彼女の演技のファンの方であれば間違いなく楽しめる作品になっているはずだ。

また、ストーリーも、妖怪や闇堕ち妖怪を通し、シリーズ中に全て共通して描かれてきた、現代人の闇や、欠点。それに疑問を投げかけ、一石を投じるというのが、大袈裟に誇張されていた感は否めないが、しっかりと描かれていたことは個人的に高評価だった。

AIやコンピュータ、スマホと人の関わり方から、人間が生きていくこととは、その上で大切にしたい喜びや、避けては通れない痛みは苦しみとは何かを問う内容になっていて、この作品にしてはかなりシリアスでビターな展開になるのだが、それがまた予想外で、ドラマチックな展開で劇場版と呼ぶに相応しいのではないかと感じた。

ただ、前述した通り、妖怪が存在する世界観なのでは何でもありといえばそれまでだが、世の中の流行の度合いや、それに安易にどハマりしてしまう人々の多さなど、舞台装置を作る為にリアル感を欠いてしまい、二次元的な描写になってしまっているのは、映画から初見の人には中々厳しいのかなと思う部分もあった。

ドラマからずっと追いかけているファンである為に、思い入れもあり、甘めの評価をしている点があるかもしれないが、それくらい満足のいく時間を過ごすことが出来た。

これで完結なのかもしれないがもし、製作陣や脚本家の方達にアイデアがまだあるのだとしたら、また新しいシリーズを観せて欲しい。

次回はディズニーピクサーの話題作『バズ・ライトイヤー』についてレビューをしようと思う。

この記事が参加している募集

スキしてみて

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?