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連載小説「転生ビジネス・カオスマップ」第七部 第14話 ノンリコ②

「我々のメリットは、もちろんレバレッジ効果でしょう」

 レバレッジとは梃(てこ)のこと。
 梃を使えば、支点を経由することで、力点に入れた力より何倍も大きな力を作用点に与えられることができる。

 今回のノンリコースローンはまさにレバレッジだ。

 力点:ヴァーゴから出資(1兆カルマ)
 支点:ノンリコースローン(2兆カルマ)
 作用点:対象会社買収(出資+ノンリコローンの計3兆カルマ)の買収力

 レバレッジ効果は3倍というわけ。
 だから、ノンリコースローンを活用して少ない資本で買収する方法は、LBO(レバレッジバイアウト)とも呼ばれるのよね。

「弊社は法人税非課税なので、税効果は取れませんけど」
「なるほど」
「ですが、ご理解いただきたい。
 ノンリコローンは弊社にとってはデメリットもあります。
 高めの利子、全資産担保提供、財務コベナンツは重い負担です。
 これらの条件が一番緩いところを探すのが通常でしょう」

 財務コベナンツによって、会社の財務状況を一定の健全な状態に保つことが義務付けられる。
 それができないと、ローンの強制一括返済を求められたりもするので、重い責任なのよね。

 ハルトはにやりと笑う。
 このようなポイントをあえて告げることで、勝負に出たのだ。

 ジョージは腕を組んだ。

「要求があるなら聞いておきますよ」
「二つあります」

 ハルトは鋭い目つきでチャンスをつかみに行った。

「ひとつは、ノンリコースローンを受けてもらうというコミットメント。
 借りれる条件の目途が立たないと、ターゲットとの交渉が進みません」
「なるほど」
「もうひとつは、金利を少し割り引いていただきたい」

 ジョージはハルトをにらみつける。

「それが整えば、弊行から融資を受けていただけるということですね」
「はい。御行がコミットしてくれるなら、我々もコミットします」

 二人は視線を逸らすことなく、沈黙が訪れた。

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