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ブレインウィッシュ

宇宙と脳は構造が似ているという

ありがたいことに、親も優秀で、両親それぞれ死ぬまで自力生活が可能

本来であれば、ちゃんと老後の面倒をみないといけないところだが、その必要がない

三度ほど結婚したが、そのどれも成就せず、これまたありがたいことに、嫁と子供もいない

親戚一同優秀で、そういった一族の揉め事も一切ない

ペットも飼っていない

仕事もウイルス騒ぎを期にひとつの区切りとし、ひとりでやれる仕事以外は一切合切辞めてしまった

たとえ俺がのたれ死んだとしても「まぁ、いつかは、そうなるだろうとは思ったよ」てなもんで

惜しまれることも、悲しませることも、ましてや迷惑もかかることもない、見事な断捨離、別離っぷりだった

そこは意図したわけではないのだが、結果オーライということにしておこう

そこを考えだすと、また狭い『一個人』という自我の柵に囚われてしまう

要するに、気がかりなこと、柵(しがらみ)を無くす

限りなくゼロに

さて、準備はすべて整った

これで晴れて、思考をカラダから切り離し、神のごとき視点から、すべてを俯瞰して観ることができるはずだ

地球を眺め、ケーキを切り分けるかのごとく、気まぐれに幾人かの生き様を切り出して描いてもいい

そうか……

せっかく神のごとき視点で物事をとらえることができても、脳内でなにかを思い描けたとしても

それを、なにかしらのカタチで表現し、世に伝える必要があるのを忘れていた

ということは、最低限、このカラダは必要だということになる

絵は……音楽は……映像は……話術は……
それなりに生きながらえてきたが、どれも花開くものはなかった

残るは『文字』
最低限の日本語と英語は書くことができる

いまのところ、このカラダ以外にアテもないので、もうそれで妥協するしかないだろう

何よりも大事なのは、自我を切り離した先、その遥か先にある

宇宙は元より、森羅万象を俯瞰して観た上で、万物創造ともいえる思考の果ての産物なのだ

無条件、すべて自由
なにを思い浮かべても
オールフリー

すべての柵(しがらみ)からの解放
そして、表現手法として、文字

これで、もう必要なものはすべて揃った

……よね?

うーん……

まぁ、大丈夫だろう

さぁ、なにを創造しよう

万物の創造主としての初仕事

わざわざ人である必要もないのだ

水だの、空気だの、食べ物だの、生命を維持するだけでめんどくさい

放っておくと揉め事ばかり起こすし

そもそも大地である必要もないのである

たまたま地球に重力があって、空気があって、水があったというだけのこと

うーん……

「・・・」

『・・・』

(・・・)

ーー ・・・

ない

創りたいものがなければ
当然、伝えることもない

ということは
なにひとつ表現する必要なんてない

てことは
このカラダも必要ないな

そして
すべてがゼロになった


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