前回に引き続き、もう少しホームランドについて語ります。今回は主人公キャリーと、その（元）上司ソウルの関係性のフォーカスしてみたいと思います。

ソウルおじさんから学ぶ、理想の上司の在り方

ホームランドは基本的にはCIAとテロとの戦いなわけですが、別の視点でみるとこれは96話をかけて、キャリーとソウルの壮大な愛と信頼の話を描いているとも言えます。愛といっても、恋愛ではなく「師弟愛」や「上司と部下における愛」です。

シーズン１、2人は最初はCIAの上司と部下としてスタートしますが、キャリーはストーリー冒頭から勝手に国民の英雄の家に監視カメラをつけたり、激高して仲間を罵ったり、他人のことはお構いなし、ミッションという名のもとにぐいぐい強引な持論で突き進む、相変わらずアンコントローラブル全開なわけです。

それに対してソウルは結構冷たい。ぶっちゃけシーズン1の冒頭は、この『おじさん感じわるっっ』て思っていました。キャリーが血相変えて相談したいことがある！といっても、「ごめん、会議あるから、また」と、さらりとかわし、キャリーが失敗してわーってなっているときにソウルを頼りに行くのですが「で、俺になんて言ってほしいの？」みたい言い方。

上司は常に「正しく」あってほしい

しかし、それらの冷たい態度に至るのか、というと、ソウルは常に「正しいこと」をキャリーに伝えようとしてるんです。コンプライアンスやCIAのため、ましてや自分の利益のためでもなく、奇人ではあるけど逸材でもあるキャリーがちゃんとミスらないように、認めてもらえるように、仕事をする上で大事なラインを教えてくれるのです。キャリーは双極性障害があることで、あらゆる物事を関連付けて考えてしまうのですが、だからこと他の人が見落とすヒントにも気づけるんです。ただ説明ができないこともあったり、ただの思い込みも多くてかなり危険な賭けなんですね。

ソウルはそんな彼女の1番の理解者です。根本的に信頼と愛で見守って、側でアドバイスしてくれています。

『君のやりたいことは分かった、でも今のやり方では、根拠がうすいから、ここまでは確証とってきね。』とか、ギリギリオッケーとなるラインを示してくれて、キャリーの暴走の手綱をキュッと握ってくれている感じ。（まぁ、実際はリードに引きずられて振り回されていることも多いのですが）キャリーのやりたいことを信じて、援護射撃してくれるんです。

部下を信頼し、仕事は任せつつ、ちゃんと見ておくこと

部下をマネジメントすることって、本当に難しいと感じます。部下やチームのマネジメントについて説いた本や、研修や、フレームワークは星の数ほど存在し、今なお増え続けています。それだけ部下を適切にマネジメントし、チームとして機能させ、成果を上げるということって難しいし、上司のふるまいの適切さは、受け取り手の数だけ異なると思うんです。

キャリーはこの物語の始まる前から、ソウルにCIAのイロハを教えてもらっていたようでした。若いころに自分が尊敬できる上司に出会えて、その人の教えをうけて成長できた経験を持つことは、その後の人生にとって非常に意味のある事です。仕事上の関係にとどまらず、そこには絆が生まれて、その人は自分が失敗しても、変わらず期待し続けてくれていると信じられることで、部下は挑戦を続けることができるし、次こそは成功しようと努力を続ける。反対に、失敗の責任を一方的に責められたり、逆に全く無関心を決め込まれると、どんどん孤独になっていきます。この人に何を言っても無駄、どうせ私なんて期待されていないと、心は離れるばかりです。

相互信頼はどうしたら作れるのか

上司と部下が互いに信頼し合う関係ってどうしたら生まれるんでしょうか？これ、わたしなりの正解は一言、愛なんだ、と思います。じゃあ愛ってどうやって生まれるのかといえばそれは、スキの積み重ね。仕事において、この人のこういうやり方好きだな、素敵だな、いいね！こんな感情が積み重なるとすきになり愛になり、信頼になる。

だからぶっちゃけ相性も大きい。

しかし、上司ができることとしては常に『内』ではなく、『外』にむけて正しい判断をし続けることです。そこがぶれなければ、かなり信頼ができるボスになるはず。そして、その部下自身の持つポテンシャル、グッドポイントを理解して見守ることも合わせて重要です。

それでも時々ボタンを掛け違えるキャリーとソウル

基本的には信頼しあっているキャリーとソウル。しかし、話が進むにつれ、敵対関係になることもしばしば。途中にはキャリー暗殺を目論んでいる疑惑も浮上し、この2人の関係には波があり、それがホームランドのドキドキハラハラするポイントでもあります。

そんな歴史ある2人の最後がどうなるのか、そこが最大の見どころ且つ、最終話まで見ないとわからないこの話の肝です！

2人の関係性にも注目して、最後まで楽しんでください！