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北京の蝶々が羽ばたいてアマゾンに雨を降らすようにこの文章が誰かに

北京での蝶の羽ばたきが起こしたかすかな風から始まった空気のうねりが、遠くアマゾンの地で雨を降らせる。バタフライ効果というやつだ。

些細なことがきっかけがとてつもない大事になる様を言ったりもする。

ここで書いた文章のうちのわずか一行でも、どこかの誰かの何かを動かすきっかけになれば。

上田現「北京の蝶」を聴き、そんなことを思った。


北京の蝶々がはばたいて
アマゾンに雨を降らすって話を
僕は本気で信じてるんだよ
歌えば少し
何かがかわるだろうってね


上田現はスカ・ロックバンド「レピッシュ」の元キーボーディスト。2008年肺がんで死去。享年47歳。ソロ活動とプロデューサー業に打ち込むために2002年レピッシュを脱退。元ちとせの大ヒット曲「ワダツミの木」の作詞・作曲も手掛けた。

Spotifyでふとオススメに現れた上田現の曲を、どこの誰かも知らないままに触れ、たちまち虜になった。

「お祭り」



どこからともなく聴こえてくる
お囃子はとても下手だね
きっと誰か近所の人が頼まれて
練習をした結果なんだろう

「コリアンドル」


これでもかと真っ青な空と
これでもかと真っ青な海と
一千年も二千年も夏だけを生きた人がいた

聴きながら鳥肌の立つ腕を眺める。拭いてもすぐにこぼれる涙をまた拭く。

上田現という蝶の羽ばたきは私の胸の中で大嵐を起こした。私は歌は好きだが自分の歌声で人を動かすような歌唱力はない。

だからこうして文章を紡ぐ。どこかの誰かの何かを動かせたらいいのにと想いながら。鱗粉振りまいて。上田現が弾いたのとは違うキーボードを叩いて。


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