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kazeさん『想い出』#シロクマ感想文

 シロクマ文芸部参加作品への感想を書く企画「シロクマ感想文」への参加記事です。


 この夏、怪談関連の本をよく読みました。中には思い出すたびに鳥肌の立つエピソードもあり、「これは創作ではなく本物の怪異を記録したものなのかもしれない」などと思ったりもしました。自分で書くのは「本物」に寄ってこられても困るので遠慮しているところ。

 そんな中、どんな怪談より怖かったのは、シロクマ文芸部で出会った一編のエッセイでした。
kazeさん『想い出』

二時間の睡眠・起きて即・作業で約30時間。
2時間の睡眠・即・起きて30時間・・・2時間の睡眠で30時間・・・の
繰り返しのまま、締め切ったカーテンの部屋で陽の光も見ずに、
立ち上がるのは食事と風呂とトイレの一瞬のみ。
その状態のまま約一ヶ月半・・・

kazeさん『想い出』より

 漫画家アシスタント時代のエピソード。昭和の漫画家といえば、手塚治虫を始めとしてむちゃくちゃな労働環境であったことは有名ですが、一日二日の話ではなく、一ヶ月半もの間、2時間睡眠&30時間作業とは……。自分も前職では一時期始発から終電までの就業やら、日勤夜勤行ったり来たりやらはありましたが、改善はされていきましたし、どんな時期でも最低3時間は寝ていました。

 紹介記事を書くにあたり、どの漫画家さんのアシスタント時代だったのか確認しようと、kazeさんの固定記事を読みにいくと……kazeさん自身が、私の好きな故・吾妻ひでお先生の自伝にも出てきた方ではないですか! 歴史上の人物が目の前に現れたような驚きでした。2時間睡眠&30時間作業は桑田次郎先生のアシスタント時代の話とのことです。

 この作業サイクルを続けると、最終的には「時間が止まった状態の中で作業」出来るようになるとのことです。やはりどんな怪談よりも恐ろしい話でした。


入院費用にあてさせていただきます。