見出し画像

最後の一文字までサボるな

 嫁に指摘されて気付いたことがある。普段の会話で、オレはよく最後の一文字を放棄している。「頼まれたアレ、やっといた“ぼ”」とか「あのメシ、美味しかった“ぱ”」とか。思い返してみれば、確かに投げ出している。文末をきちんと締めていない。何気ない日常から突如デスゲーム展開になる漫画で、セリフ中にヘッドショットされるヤツみたいだ。最後一文字のフォントは斜め。言わずもがな、この比喩が長い割に伝わっていないことは理解している。コスパ悪い。くやしい。

 また、別に噛んでいるわけでもない。と言うか、最後の一文字だけ狙って噛んでいるとしたら、それはそれで高等技術が過ぎる。羨ましい。加えて言うなら、語尾でかわい子ぶっているわけでも、キャラ付けをしたいわけでもない。山王の深津かよ。余談だけど、語尾を選べるなら「ぞい!」にしたい。デデデ大王みたいだ。何をしても許してもらえると思う。このエクセル、見映え良くするためにセル結合しといたぞい!

 閑話休題、最後の一文字を投げ出す理由は明快だ。それは、文章の途中ですでに意図が伝わっているから。中身さえ理解してもらえれば、あとはどうでもいい。そう思っている。そして、嫁と話す時は、それが顕著に出ている。だって、毎日一緒に居るし、言葉を丁寧に飾る必要がない。気も抜いてしまう。オレが小6だったら「だぜ」と付け足すのに必死だったが、あいにくチン毛ボーボーだ。

 しかしながら、わざわざこれを伝えているわけだ。多少、嫁も気にしているのかもしれない。倦怠期を迎える夫婦は「お茶」「ん」とか忍者の合言葉みたいなコミュニケーションしかしなくなる。あそこまで短くなったら、もう危険だ。会話ではない。嫁は、最後の一文字をサボるオレにその未来を見たのだろう。現代日本に忍びは不要。ニンニン。

 それを踏まえ、今後は嫁のためにも最後の一文字まで丁寧に伝えたい。一生懸命頑張るぺゃ

この記事が参加している募集

振り返りnote

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?