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クラスのアイツはマリオの喋る花

 新作のマリオで遊んでいる。『スーパーマリオブラザーズ ワンダー』というタイトルで、その名の通り不思議な世界観が売りの作品だ。個人的には『ふしぎの国のアリス』より『ダンボ』の飲酒シーンが近いと思っている。そう言えば、このマリオはゾウに変身する。引っ張られた感は否めない。パオンヌ。

 本作の特徴の一つとして、喋る花が居る。キャラこそ違うが『UNDERTALE』のフラウィっぽい。と言うか、キャラも一緒だったら嫌過ぎる。さて、この喋る花だが、攻略とはほとんど関係ない。「がんばれ〜!」とか「イイ天気〜」とかどうでもいいことを話しかけてくる。数は、おそらく1ステージに10体前後。マリオの世界にビッ●モーターが無くて本当によかった。

 そんな意地悪な冗談を言うのも、最初はうざく感じるからだ。馴れ馴れしいし、聞いてもいないことをペチャクチャ伝えてくる。調べたところ、音声オフに設定変更している人も多いらしい。しかしながら、そこで我慢すると徐々に可愛く思えてくる。こっちがツンケンしても諦めない姿に、胸打たれてしまうのだ。この一連の感情の動きに、ある影を見た。そうだ、喋る花は同じクラスに居た変なやつに似ている。誰でも全員一度は出逢ったことがある、あの変なやつ。親しくもないのに、すっごい話しかけてくるアイツ。お前の卓球部の話、別に聞いてないよ。言われなくても、次が移動教室なの知ってるよ。ミュウスリーなんて居ないよ。

 当時、オレはアイツを煙たがっていた。精神的に未熟だったのだ。だが、大人になった今ふと思う時がある。もっとやさしく接してあげればよかったと。あの頃の冷たい態度を悔やむ夜があるのだ。そして、この新作マリオでようやくアイツと邂逅を果たす。オレは、喋る花を通してカタルシスを得ている。

 そんな雑念を考えながらプレイしていたら、残機が1になってしまった。クソ。もちろん、アイツの音声はオフに変えた。

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