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獣の柱

思考を得てしまった人間にとって一番幸せな状態とは、無限の幸福感にあふれた思考停止状態なのかも知れない。

例えばYoutubeをぼーっと見ながらゲラゲラ笑い、気づけば数時間経っていたって状態。身に覚えがあるだろう。(よくあるごめん)

その幸せな状態のまま、食べることもしゃべることも忘れて死ねるなら、それは「安楽死」というコトバ通りの終わり方なのかもしれない。

だとしたら、そんな死を提供してくれる「仕組み」があったなら、その仕組みは優しみから提供されているのかも知れない。その提供者を神と呼ぶか地球と呼ぶか、はたまた「御柱さま」と呼ぶのかは色々だが、もしかしたらその神は、人間は快楽を求める生物であると認識し、ならば快楽を提供してあげよう、それで滅ぶならそこまでだ、と考えたのかも知れない。愛ゆえに。

でも、与えられた幸せにどれだけ価値があるだろう。本当の幸福感は、一方的に提供されるものではなく、自分の手で能動的に得るものではないだろうか。そんな心を持つ少数の新人類は、「神」と共に新たな世界を構築していく。

与えられた幸福ではなく、苦労しても自分の意思で行動し、自分の手で人生を掴みたい、だなんて、人間ってなんて非効率的な存在なんだろう。でも、この非効率的な部分を、神なり地球なりは、愛おしいと思ってくれているのか。だから、警告を発してくれているのか。地球が壊れかけている、と。

藤子F不二雄さんのSF短編集の中には、人口爆発を取り扱った肝が冷える作品が沢山あるが、それらを彷彿とさせる作品だった。

ドラえもん的可愛い絵柄でドギツイ内容。これ以外も大好きだが、こちらの中の「まびき」という作品に通じるところが多々あると思う。

「何かを伝えようと思ってコトバを学んだけれど、コトバを学ぶことで、コトバの枠に囚われてしまうようになりました」

自ら定めた枠に、自らをはめないように。いつも感じることを忘れないように。

獣の柱の周りが人柱だけになりませんように。

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