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虚無と喪失

「私は、どこへも行けない。もともといない。ただ、見ることしか出来ない」

 そう言うと、天を見上げた。
 
 「もともと何も無いのと、何かを失うこと、どちらが悲しいのだろう」
 
 僕は呟いた。ふと、思ったのだ。
 彼女に向けての疑問では無く、自分への問だ。

「その問に答えなんか出るわけない」

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