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「病院で働くということ」・・・Vol.3:医師の当直業務

 医者になってかれこれ25年以上、月2回以上の当直業務がずっとありました。30歳代の最も多いときで月8-9回、アラフィフと言われるようになった現在でも月に3-4回は当直として病院での業務にあたっています。
 
 医療者以外の方には「病院に仕事で泊まるって大変ですね。」「全然眠れないんですか?」とよく言われますが、もはやルーチンワーク化していて大変かどうかは自分ではよく分かりません。当直によってはほぼ一睡も出来ないこともあるし、4-5時間まとめて眠れることもあります。ただ眠れるとはいっても、当直室のベッドは硬く、慣れない寝具で休むことになるため、自宅での睡眠とは違って睡眠の質は決して良くありません。当然疲労は取れにくいし、やむを得ず翌日の勤務が続く場合には確かにしんどい。それも歳をとって当直明けのリカバリーにも時間がかかっているのも事実です。
 
 一方で医師駆け出しの頃の当直時に感じていた
「救急外来でこんな患者が来たらどうしよう」
とか、
「どのタイミングで上司に電話しよう」
といった緊張感はなく、自分の診療の力量と施設のキャパシティー(ベッド状況と施設の診療内容の両方を指します)に応じた対応をすれば良い、と割り切っているので、怖くて眠れない、といった精神的な疲労感はないかもしれません。
 
 「働き方改革」の議論の際にも言われることですが、病院で夜間の業務を行うスタッフの中で、医師以外の職種(看護師・技師・事務職員など)は翌朝の業務終了・引き継ぎ後は帰宅します。医師だけが翌日も通常勤務となる場合が今でも多くあり、今後はきちんと対策をしていかなければ過重労働の温床が改善されないと思います。
 
 当直業務を担う医師数の確保、地域毎の病院の集約化と効率化、この問題を解決するためにやるべきことは山積みで、すぐに結果が出無いとは思いますが、我々現場からも現状を発信していく必要性はあります。
 本ブログでも今後定期的に取り上げていきたいと思います。

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