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【小児科医が解説】赤ちゃんが母親に求める役割とは〜母親の瞳が持つ2つの役割

赤ちゃんがあなたを見ている時、赤ちゃんは何を見ているのでしょうか?

それは、
・子どもが母親に何を求めているのか?
・母親は子どもに何を提供すべきなのか?
と言う問いでもあります。

母乳/ミルクをあげることでしょうか?
おむつを変えることでしょうか?

でも、それは他の人でもできることですよね?
母親にしかできない役割があるとしたら、それは何でしょうか?

今日は、このコラムを通して、子ども・赤ちゃんは母親に何を求めているのか?母親は何を提供すべきかを考えていきたいと思います。

母親の瞳がもつ2つの役割

小児科医で児童精神科医でもあったウィニコットは、こう言いました。

赤ちゃんがお母さんの瞳を見つめるとき、二つのものを見ている。

自分を見つめる母親の瞳と、
その瞳に映った自分自身を。

by Winnicott

つまり、赤ちゃんが母親の瞳を見た時、
・母親が自分を見守っていること・愛情を向けていることを確認しますし、

同時に
・母親の瞳に映る自分を見て、自分のことも確かめているのです。

母親の瞳から受け取る愛情

実際には母親には限りませんが、赤ちゃんが親の顔を見つめ、親が自分を見ていることを感じたその瞬間、赤ちゃんの小さな心に何が刻まれているのでしょうか。

赤ちゃんは母親が自分に関心を向けていることに気がつくはずです。
自分が目線を外しても、母親が自分を見ていることを何度も何度も確認して、親が自分に関心を向けていることを確認しているのです。

そして関心とは、親の愛情そのものなのです。
赤ちゃんは親の瞳が自分に向かっていることを確かめて、「愛されている」という安心感を感じているのです。

この安心感こそ、妊娠中、お母さんのお腹の中にいた赤ちゃんが、初めて感じる心地よさでもあるのです。この関心を向けられている、愛情を向けられていると言う感覚こそが、赤ちゃんのその後の人生において、他者や社会に対する信頼や自己価値感の土台となるものです。

鏡としての母親

親がどれだけ忙しくても、赤ちゃんと目を合わせるその一瞬は、赤ちゃんにとって非常に大切な瞬間です。
それは、親が赤ちゃんに与える最初の「鏡」であり、赤ちゃんはその“愛情を持った鏡”に映る自分を見て、自分の存在を確かめるのです。

子どもにとって、親は“愛情をもった鏡“ですし、子どもは親の瞳に映る自分を見て、自分の顔の形や表情の変化、体の大きさを、愛情と共に確かめるのです。

この、自分を認識する能力こそ、人間が生きていく上で重要で、
自分がしたいことは何か、自分が困っていることは何か、といった自分自身の内面を認識することにつながっていくわけです。

赤ちゃんは言葉を理解していませんが、
母親・父親とのアイコンタクトを通して、親の瞳から温かさや愛情はを感じていて、それは言葉を覚えたとしても変わらない“愛情を確かめる手段”として存在することになりますし、赤ちゃんにとっては言葉よりも遥かに強いメッセージとなっているわけです。

親の目線を奪うスマホ

スマートフォン・タブレットは便利、かつ、絶対的なツールとなっています。一方で、親子のアイコンタクト、デジタルデバイスの登場によって減っていることは事実だと思います。

言い換えると、自分ではなく、
 スマホを使う親を見る子どもが増えている、ということなのです。

現代の親は、無意識にスマホを使う状況にあるからこそ、
意図的にスマホから離れる時間、スマホから離れて子どもと接する時間、を取ることが必要になるのです。

お子さんをもつ親御さんへの具体的な提案

1. 視線を合わせる・子どもの目を見る時間を作る:
 シンプルですが効果的です。
 1日、5分。
 5分でいいので、授乳や抱っこ時に意識的に目を合わせる時間を作ってみませんか?

2. 表情を豊かに:
 目があったら、次は瞳だけでなく、顔全体で感情を伝えてみましょう。
 笑いかけることが大事です。
 笑顔や温かな表情が、子どもに安心感を与えます。
 そして同時に気がつくはずです。
 子どもが、まず親の目を見て、次に親の表情を見ていることを。

3. 言葉にすること:
そして最後に「ママ(またはパパ)は君のことが大好きだよ」と声に出して伝えましょう。
 子どもは、視覚と聴覚の両方から自分に向けられる愛情を受け取り、愛情とは何かを理解するのです。

最後に

赤ちゃんの瞳には、親・大人が想像する以上に多くのものが映っています。

赤ちゃんは鏡としての親の瞳を通して、自分を見て、自分への愛情を感じ取るわけです。

親が子どもを見ることには、親が想像する以上に大きな意義があるということです。

このコラムを通じて、赤ちゃんの心の世界、赤ちゃんに必要な環境とは何か、少しでも考えてくださったら、とても嬉しいです。

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ここまで読んでくださってありがとうございました.


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