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【ほししいたけファンインタビュー】薬膳カレー専門店『香食楽(かくら)』店主 井村真沙子さん

1)ほししいたけ、あなたの推しポイントは?

ほししいたけのおすすめポイントは、何より栄養価が高く、健康維持にとても良いということ。免疫力を活性化することからアレルギーやがんの予防に有効とも言われており、弱った身体と気持ちを元気にする効果があります。
薬膳的には、肝臓によく消化器系、さらに腎(薬膳的には腎臓の機能に加え、水分代謝や呼吸、老化防止などが含まれる)の働きを助けます。また、カルシウムの吸収を高めるビタミンDが多く含まれていることから、女性が気になる骨粗鬆症予防のためにも日頃から摂っておきたい食材の一つです。もちろん、どんな食品も食べ過ぎは良くないですから、少しずつ添えるというのが良いでしょう。

2)ほししいたけとの出会いはいつ?どんなふうに?

私の母は、病気になるとお医者さんにかかって薬をもらい、その帰りに漢方薬局にも立ち寄って、西洋医学と東洋医学の良いことろを症状に合わせて選択するという考えの人でした。食事もできるだけ自然のものを心がけていて、出汁をかならず取っていました。冷蔵庫をあけるといつも昆布とほししいたけが水に浸かっていたので、ほししいたけとの出会いは幼い頃に遡りますね。母の手作りの料理で育ちましたから、インスタント食品を食べることはほとんどありませんでした。身体に良い食品を見つけては、祖母と母と私で試してみたり、一緒に整体に通ったりと、健康を意識する家庭でした。

冷蔵庫には、いつも昆布としいたけがあった

3)井村さんは普段何をしている人ですか?

薬膳カレーと薬酒と薬膳鍋を提供するお店を経営しています。2005年1月にオープンしたので、今年で20年目を迎えました。

お店へは、東急東横線・東京メトロ日比谷線の「中目黒駅」から徒歩6分

20代後半でカレー屋さんを開きたいと思い立ち、インドカレーや菜食主義のレストランで働きながら、カレーの研究を始めました。レストランでの過酷な勤務の後カレーを試作する、という日々を続けたことにより体調を崩してしまいました。治療のためのホルモン注射がつらくて、病院にさえも通えなくなってしまって。そんな時、漢方薬局の前を通りかかり、久しぶりに漢方薬を飲んでみたところ、体調がみるみるうちに回復したのです。そこで、私の身体を元気にしてくれた漢方薬に入っている生薬をカレーに入れてみたらどうかと思いつき、漢方薬局に通い詰めて教えを請うことに。最初、薬局のおじさんからは「薬膳なんて流行らないからやめときな」と言われたのですが、女性を元気にしたいという考えから「当帰」などの生薬を入れた「かくらカレー」が完成、『香食楽』をオープンしました。

鶏だし・グルテンフリーで、脾(胃=消化器系全般)を補う「かくらカレー」

当時は、まだ薬膳は一般的ではなく、お客様はごく一部の健康への意識が高い方ばかり。中途半端な知識では応えられないと、営業を続けながら国際中医薬膳師の資格を取得し、基礎理論に則りレシピもしっかりと構成することができるようになりました。
その後、徐々に薬膳が認知され、さらにコロナ禍を経て健康志向の人が増えたことや美容のために食事を意識する方が増えたことなどから、今では年齢も性別も関係なくさまざまなお客様が来店されるようになりました。幅広く薬膳料理が注目されていると感じています。

現在は、かくらカレー・黒カレー・ベジカレー・巡るカレーの4種の薬膳カレーが楽しめる

香食楽の4種類の薬膳カレーのうち、1つはビーガン用のベジカレーです。レストランで働いていた時に、ベジタリアンの方が他の方と一緒に食べに行けるお店が少なくて寂しい思いをしていることに気づいたいたんです。私はベジタリアンではありませんが、ベジタリアンもそうでない人もみんなで一緒に食卓を囲めるお店を作りたいという想いでレシピを開発しました。ベジカレーはもちろん動物性のだしがNGですから、昆布とほししいたけをたっぷり使っています。スパイスがたっぷり入っていますので、しいたけの香りが苦手な方も気にならないようです。旨みたっぷりでベジタリアンではない方にも好評です。

また、2年前から薬酒協会とのご縁ができて、お店で100種類の薬酒をご用意してお客様に楽しんでいただいています。しいたけを漬け込んで「しいたけ酒」というのも良いかもしれませんね!?

生薬の効能を抽出できるという薬酒。ほししいたけ酒も実現可能?

4)みなさんにどんなふうにほししいたけを楽しんで欲しいですか?

ほししいたけを戻す時、レンジやお湯で戻すと早いと言いますが、必ず水でじっくり戻してほしいです。ほししいたけの旨み成分である「グアニル酸」は、水でゆっくり戻さないと壊れてしまいますから。
グアニル酸はグルタミン酸と相性が良く、昆布としいたけは最強のコンビ。私はベジカレーを作る時、一晩水に浸した昆布とほししいたけを合わせてペーストにして使っています。昆布としいたけの旨みペーストは、料理に簡単に加えることができるので便利ですし美味しいのでおすすめです。皆さんがなぜこういった使い方をしないのか不思議なくらいです(笑)。作り方は簡単。戻した昆布やしいたけと水分を半々くらいで、フードプロセッサーで回すだけ。冷凍も可能です。

一晩水につけた昆布としいたけを
フードプロセッサーやハンドミキサーでペーストに

ご家庭でもカレーを作る時、水と一緒にペーストを加えると、より美味しくて身体にもよいカレーが出来上がります。シチューやキノコのパスタやなどにも応用できると思いますので、ぜひお試しください。

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