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152.ロボットこそは人に近づけてなんぼでは

弱いロボット

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三省堂書店池袋本店のヨンデル選書フェア(本記事は2019-2020のヨンデル選書 2nd seasonが対象)で、お買い上げの方に渡す特製カードに350文字のオススメ文を寄せた。以下、そのまま引用する。

シリーズ・ケアをひらくの中には異色の本がいっぱいある、というか同シリーズ自体がそもそも異色なのだが、この中で一般的に楽しまれる可能性が高いのは「弱いロボット」かもしれない。科学の本として純粋に鬼楽しいので、かえって「ケアをひらく」のストライクゾーンをボール1個分はずれている印象がある、しかしたいていの好打者にとっての「打ちごろの球」というのはむしろ本書のような本ではなかろうか。居るのはつらいよがバカ売れしたときにも少し思ったのだ、快挙だ、快挙だけど、弱いロボットも快挙的な本だよなあ、と。人間工学とロボット工学がまじわった先にあるのは「ロボが人型をしている意味はないよね」というようなオタク的自虐なのだが、本書を読んでいると「ロボットこそは人に近づけてなんぼでは?」という謎の感慨が湧いてくる。

読んだなーこれ。たしかに前後にならぶさまざまな「ケアをひらく」のシリーズとは毛色が違う……今、さいしょ、「経路が違う」と変換されたんだけど、この際毛色でも経路でもどちらでもいい気がする。むしろ経路が違うのではないか。

「ロボットこそは人に近づけてなんぼでは?」は我ながらすごくいい洞察な気がする。AIが人間を超えるとか超えないとかじゃないんだよ。たとえば、ひたすら近づけてみろって。それだっておもしろいんだよ。

(2022.6.17 152冊目)

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