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台風襲来、住民の困りごとは??検索×位置情報で可視化してみた

こんにちは、データアナリストの清作左です。

今年も台風が各地で被害をもたらしましたね。台風6号が沖縄で猛威をふるい、7号がお盆の列島を縦断しました。被害に合われた方も多いと思います。

そんな毎年被害をもたらし、自治体職員や地域住民の頭を悩ませる台風。

2022年の台風15号に見舞われた静岡市の出した災害対応検証の最終報告では「市民ニーズの高い情報を迅速かつ効果的に情報収集できなかった」「被災初期の被災状況や復旧見込みなどの情報のほか、市民ニーズが把握できなかった」と課題点が上がっていました。

どうしたら、被災時の住民のニーズ、知りたい情報をうまく把握できるのでしょうか。

検索データと位置情報から導き出すことはできないか、DS.INSIGHTのPlace機能を使って調べてみました。


■Place機能、何がわかる?

DS.INSIGHTのPlace機能はGPSの情報に基づいて場所にどれぐらい人が滞留していたか、その地域の住民や来訪者がどれくらいいて、何を検索したかなどがわかるツール。具体的にどういう機能、ツールか見てみましょう。

今年8月の東京都新宿区の人流などをPlace機能で調べるとでてくる画面が以下の画像です。

東京都新宿区では、

  • 新宿駅を中心に多くの人が滞在している

  • 人口の推移を見ると平日は住民よりも来訪者のほうが多い

  • 金曜日は来訪者が多くなる傾向がある

などがわかります。

画像の右下の「興味関心キーワード」はヤフー全体の検索結果に対して住民や来訪者が調べる割合が高い特徴的と言えるワードが表示されています。

今回はこの興味関心キーワードに着目して、「台風の襲来前後に地域住民が検索したこと」を分析してみました。

■静岡市清水区で断水が長期化 住民の検索ニーズは?

まず分析してみた地域は先程、検証結果を紹介した静岡市。中でも2022年台風15号に関連して断水被害を受けた静岡市清水区に注目してみました。

この台風は22年9月23日午前9時に室戸岬(高知県)の南約300kmの海上で発生、北上し東海地方に近づき24日午前9時に温帯低気圧に変わりました。この台風の影響で静岡県では線状降水帯が発生、大雨に見舞われ、停電や断水などライフラインが被害を受けました(参考:気象庁「令和4年台風第15による大雨」)。

断水については24日から静岡市清水区では最大6万3000軒で発生。完全復旧には13日間を要していました。

台風から1週間の興味関心キーワードを日にちごとに並べ、ワードの特徴で色分けしてみました。

台風が近づいたときは河川情報が調べられ、断水が発生してからは継続的に断水に関する情報やライフハックが調べられていることがわかりますね。

また、断水の影響を受けて緑色の「お風呂をどうするか」を気にしている住民が多いと言えるでしょう。。

断水発生から数日後には洗濯物をどうするかが心配になってきているのが浮き彫りになっているといえます。

災害時に住民のニーズが日々変わっていることがつぶさに見て取れますね。

■住民の気になる情報は一緒? 同じ台風で調べてみると…

住民が気になったことの推移が可視化できました。

1つの台風が複数の地域を通った場合、各地の住民の気になるポイントは一緒でしょうか?

その点を見比べていきましょう。

2022年の台風14号は9月13日発生、数日かけて北上した後に、18日に九州に上陸した後、19日にかけて縦断していきました。

進路上の地域や被害を受けた地域の住民ニーズを同様に調べてみました。

対象としたのは上陸地点の鹿児島県指宿市、停電が起きた宮崎県日南市、台風が通過した鹿児島市、勢力が弱まった状態で通過した福岡市です。

指宿市では上陸前は行政や防災の情報を集めていたのに対し、
上陸後停電、通過後は交通情報が調べられていたことがわかります。

指宿市と傾向は似ていて停電や交通情報を調べていました
緑色の情報の取得先については行政情報よりも地元ローカル局の検索がされる場面もあり、メディアが頼りにされている傾向があるかもしれません。

また、指宿市では調べられていなかった河川の情報が台風の上陸日前後に検索されているという違いも特徴的でした。

では、台風が通過した鹿児島市ではどのようなワードが検索されたのでしょうか。さっそく見てみましょう。

指宿市とは直線距離で約40km離れている鹿児島市。
距離がそこまで離れていないものの、検索傾向はガラリと変わることがわかります。

台風による被害の心配よりは「台風は来るがゴミ回収はちゃんと回収してくれるのだろうか」が気になっているのが浮き彫りになる結果となりました。

最後に、台風の勢力が弱くなっていた福岡市はどうでしょうか。

ゴミ出しが気になるぐらいでしょうか。ほぼ興味関心に上がっていないことがわかります。

■まとめ

DS.INSIGHTのPlace機能では被災地域の刻一刻と変わっていく検索ニーズがわかるともいえるでしょう。

困りごとを把握したうえでどの事例に近くなりそうか検討して情報を出すと住民の知りたいに応える発信になりそうですね。



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