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    文学賞に応募できないもの

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最近の記事

ピースとセブンスター

 人間という生き物には、予め定められた道のようなものが存在していて、結局その人がどう足掻こうとも、そのレールから外れることができないものなのかもしれない。  僕は今年で二十六になるのだけれど、病気の療養のせいで働くことはできていない。いや……全てを病のせいにするのはよくないことだ。少なくとも就職活動の時期には、僕は今よりずっと健康体だったし、その気になれば社会という恐ろしい波へと漕ぎ出すことができていた。すなわち、これもまた〝道〟というものによる導きなのであろう。つまり、僕は

    • 廃人日記

       酷い気分がずっと続いている。今、自分という人間は最低な状態だと思う。ベッドの中で眠ることもできず、しかし起き上がる気力もない。漠然とした不安感が心臓を冷たく掴み、声を出して呻くけれども、どこへもそれは消えてくれない。1分毎に姿勢を変えて、どうにか安心できるような格好を探すが、それも見つからない。そうして1時間、2時間と過ぎてゆき、途方も無いほどの拷問の果てに1日が終わる。自殺病、そう人々が表現するのも理解できる。生自体が苦痛に支配されてしまえば、絶望の果てにそういった選択を

      • 悪魔の詩

         歌が聞こえる。閉じ切ったカーテンの向こう、日の光が溢れる外界から、歌が響いてくる。まだ生まれて間もない子供たちの歌………それが、埃にまみれた僕の部屋へと届き、このベッドの中まで音を震わせている。穢れない、天使の歌声………本当にそうだろうか? 少なくとも、僕の耳にはこう聞こえる。死ね死ね死ね死ねと、呪詛を叫んでいるように聞こえる。僕は耐えきれずに、布団を頭からかぶり呻き声を出す。どうしてしまったのだろう? 本当に、自分という人間は壊れてしまったのだろうか?  外を歩く。こ

        • 私訳

           時々、暗くない小説というものを書いてみたいものだと思うことがある。僕が書くものなんかはいつも、陰鬱なものばかりで自分でも気が滅入ってしまうのだけれど、そんな時にふと美しい音楽を聴いたり、名前も知らないような人のなんでもない日記を読んだりすると、心がすっと楽な方に傾いてそんなことを思う時があるのだ。それも、生活の中でふと感じた些細な、それでいてある種の美学を感じさせるようなことが、一日中胸のどこかを優しく刺すような日には、僕はこのような文章を書かずにはいられない。ここ最近はず

        ピースとセブンスター

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        記事

          拳銃自殺

           拳銃自殺のイメージが、ここ一年間ずっとQの脳内に埋没し、重い存在感を放っている。  Qは想像する。へばりつくように床に座った自分と、目の前に落ちている黒い鉄の塊を想像する。美しく、やんちゃで、冷たく重いそれは、両手で引き金を作動させるだけで人間の命を奪うことのできる、神の道具である。Qはゆっくりと手を伸ばし、愛撫するようにその身体に触れる。小さな銃口に重いマガジン、短い銃身に恥部のような撃鉄、シンプルなパーツから構成されたその丈夫な拳銃は、Qにとって人間よりも人間らしい

          ベルソムラ

           いらっしゃいませ。と、そんな馬鹿げたような挨拶が僕の口から出てきます。この場所で仕事をしている間、たくさんの人たちが目の前に現れては、街のどこかへと消えてゆきます。僕がここに勤め始めてから、もう三年が経過しようとしていますが、相変わらず生活には何の変化もなく、毎日を、レジを打ったり接客をしながら過ごしています。きっと、数年後も僕は変わらずにそう生きていることでしょう。ぬるい生活の中で、僕という人間はすっかり駄目になってしまいました。ありがとうございました、と、またそんな馬鹿

          ベルソムラ

          メイプルハウス

           部屋に吹く隙間風の寒さで目を覚ますと、周囲は暗く深い夜だった。狭いベッドの中、先ほどの夢の残り香が体温と共に失われていき、ある種の哀しみが、まだ不明瞭な意識の内部を通り過ぎていった。十数時間眠った後の脳が溶けるような頭痛に顔をしかめながら、僕は長い眠りの間に見た、その短い夢について追憶しようとした。それは、今まで見た夢の中でも最も幸福な類のものに思えた。誰か、僕以外の人間が存在して、その美しい人が温かい両手でこちらを包み込んでくれるような、そんな夢だった。僕は上半身を起こし

          メイプルハウス

          兄弟

           年末の時期に病院へ行くタイミングを逃してしまった。薬を切らしてしまったので、ここ数日は自分でも様子が異なると思う。薬が抜けると、僕は気分が高揚する傾向にある。それが行き過ぎて、ほとんど眠れていない。現に今も、目が冴えすぎて困っているところなのだ。脳内に電流がはしるような刺激が起こり、このままだとまる二日は眠れそうにない。これだと過睡眠の方がまだ健康的だろう。  兄が帰ってきている。狭い我が家では一緒の部屋で過ごすことになるが、健常者の生活に合わせるというものは辛いものだ。

          何週間か前の夢日記

           あるところに発作を起こす少年がいた。  彼の発作は独特なものだった。静かな授業中、その発作はよく起こった。自分が自分で無くなるかのような感覚。悪魔にでも、憑りつかれてしまったような感覚が、彼を襲った。そういった時、机を前後に、激しくブランコのように揺らさないと彼は耐えられなかった。発作が始まると、教師や彼の級友たちは、ああまた始まったと顔をしかめた。彼はその度に、申し訳なく思った。そして、自身のこの発作癖を恨ましく思った。いつから自分はこのようになってしまったのだろうと、机

          何週間か前の夢日記

          重度

           何をするわけでもない。喜びも、悲しみも存在しない。そんな時間が続いている。あと数時間、これを埋めなければいけない。暇つぶしに、文章を書く。喜びも、悲しみもない空白。空白が、確かにこの胸に存在する。これが一生続くのだとしたら……考えたくもない。  大雨の日、真夜中の川へと向かう。数キロの道を、酒を飲みながら歩く。禁酒だなんて、馬鹿らしい。もう僕にはこれしか快楽が存在しない。面白いほどに濡れた靴、古いビニール傘、ポケットに入れたままのイヤホン。途中で何度も帰ろうかと考えるが、

          ダウンツヘヴン

           様々なものが絡みついて、両手の汚れがとれなくなってきている。気分がハイになった時に結んだ関係が、ダウンした時には首を絞める強度のある紐のようにこちらを束縛してくる。本で読んだがこういうパターンはよくあることらしい。頭は混乱し、自分が何を喋っているかも分からない。これも、病気か? 最近は何でもかんでも病気に結びつける悪い癖ができた。精神的に失調することなど、普通の人間にもよくあることなのに。  僕はよく喋るようになった。ダウン状態でも、無理矢理喋る。そんな時の自分は、面白く

          ダウンツヘヴン

          2023/11/28 夢日記

           田園地帯、小さな貝のモンスターが二匹いて、そのうちの一匹が竹でできた足場の隙間に落ちる。それを救い出すために北の方向へ向かいとある一軒家の魔女にアドバイスをもらう。帰る途中で巨大な岩石のモンスターに襲われるが、貝のモンスターが樹の実を食べ変身し、巨大なダンゴムシになって対抗する。  北海道の田園地帯。猟友会の人間が花を敷き詰めた船に乗ってクマを撃ちに行く。田畑は水路によって区切られており、草が伸び放題で視界が悪い。若い親子を見つけ、駆除しようとするが、銃が故障を起こす。

          2023/11/28 夢日記

          酒や映像についての日記

           僕はよく酒を飲む。具体的にどれくらい飲むかというと、江戸時代の相撲取りくらい飲む(具体的か?)。飲酒歴は六年ほどしかないが、立派なアル中である。休肝日をつくろうとしても、どうしても我慢できずに飲んでしまう。飲まなければ、眠ることができないのだ。  そんな僕だが、つい十日前くらいから断酒というものを始めた。これが不思議なもので、休肝日すら耐えることのできなかった僕が、案外続いている。どうやらいつでも飲めるという状況を断ちさえすれば、なんとかなるものらしい。離脱症状は中々のもの

          酒や映像についての日記

          邪眼

           おれは人の目を見ることができない。いつだってそうだった。淡い少年時代の頃から、おれは他人の、純真無垢なる瞳を恐れたものだった。  ある日図鑑で見たことがある人体の仕組みと解剖……そこにスケッチされていた眼というものの大きさに、おれは恐怖というものを抱いたものだった。普段自分の顔へ張り付いているように見えるそれは、ほんの一部の肉の切れ目から覗いているものでしかなく、頭という器官の中へ食い込むように、想像以上に巨大な腫瘍として存在していたのだった。おれは自分の手を空間の中で僅か

          落ちる飛行機

           身体が重い。際限ない眠りと夢の世界。躁の期間が終わり、これから落ちていくのかもしれない。また誰とも、思うように会話ができなくなる。他人とのコミュニケーションなんてどうでもいい、ずっとそう考えていたが、ハイの時間を経てよく分からなくなってきている。ああ、自分はずっと変なことを喋っていた。気持ちが悪い。  自分の人格をひたすらずっと否定される夢を見る。夢の中で空を飛ぶ。空を飛んでも、奴らは追いかけてくる。そして後ろから、ただ嫌な笑い声を撃ってくる。空も飛べないくせに、なぜあん

          落ちる飛行機

          躁がソラから落ちてくる

           躁状態が最近続いている。落ち着きのない毎日。机に向かっていることも難しいが、なんとか喰らいついている。  急によく喋るようになったので、仕事先の人間も困惑していることだろう。自分が何を話しているかも曖昧だが、普通の会話ができていると思う。家に帰るとその日の自分の姿を思い出して鬱へ逆転することもあるが、すぐにまた気分が高揚してくる。長期的なスパンで浮き沈みを繰り返すとしたら、今後やってくるだろう低空飛行が恐ろしいかもしれない。飛行機が墜落しないとも限らない。落ちない飛行機など

          躁がソラから落ちてくる