好奇心を枯らさないために

死ぬまで旺盛な好奇心を保ち続けられる人は稀で、誰しもどこかのタイミングで新しい情報を取り入れようとする姿勢を維持できなくなってしまう。

そうなってしまったら、もうその人は化石と同じ。

もし経営者の人ならば、次世代に席を譲ってほしい。

欲を言えば、そうなる前に次世代へバトンを渡してほしい。

社会のためにも。

誤解を恐れずに言えば、現代は年長者から学べることが少なくなっていく時代です。

この傾向は、今後ますます顕著になっていくでしょう。

なぜなら、年長者が経験してきたこと(特に成功体験)が、陳腐化するまでの時間が短くなっていて、彼(女)らから聞いた方法をそのまま現在に転用しても、通用しにくくなっているから。

例えば、ポケベルやPHSを使い倒していた世代もいれば、物心ついた時から携帯電話が普及していた世代、スマートフォンを小学生から使ってきた世代など、10歳も年が離れれば、その人たちが育ってきた環境は全然違います。

今や短期間で環境がガラッと変わりますので、20年も30年も前に通用した方法を、現在に持ち込んでも通用しにくいことは自明でしょう。

こんなことを考えたきっかけは、ある生命保険会社の担当者との談話中に、70代の経営者に最近設計した保険をいくらお薦めしても、結局昔からあるタイプの保険に落ち着いて、加入されることが多いという話を伺ったからです。

ところで、なるべく長い間、旺盛な好奇心を枯れさせないために、どんなことをすれば有効だと思いますか?

僕は、自分よりも若い人と接する機会を自発的に創ることが有効だと思っています。

そして、その人たちが自分よりも詳しいことについて、恥ずかしがらずに教えを請い、吸収することです。

若い人から、抵抗なく学ぼうとする姿勢こそが、好奇心という花を枯らさないための水やりの役目を果たすと思うんです。

そんなことは言われなくても分かっている、と多くの年長者から怒られるかもしれません。

ただし、自分から若い人と一緒に過ごす時間を創ろうとすることはあくまでも第一歩で、さらに重要なことは、若い人たちにこの人となら一緒に心地よい時間を過ごせると思ってもらうことです。

一度だけ会って、話を聞くだけでは意味がありませんので、長期的に続く良好な関係を築く必要があります。

どれだけおいしい食事をご馳走してくれる人でも、この人とは一緒の時間を過ごしたくないと思われてしまっては、定期的に会うことは叶わず、そもそも学ぶ機会を作れません。

そのためにも、年上だからという理由だけで偉そうに振る舞ったり、相手が話している最中に自分の話をかぶせたり、相手のほうが詳しいことを、さも分かっている風に話したり、驕った態度で接すると、相手に嫌悪感を抱かせてしまいます。

僕もこれから気をつけて、自分よりも若い人と接する機会を創ります。

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