国民民主党が女性支持者が少ないことを気にしてる問題に対する私の考え

党幹部からの危機感

 国民民主党は2月11日に党大会を開催した。そこで玉木代表が「ちょっと笑い事ではなくて真剣に対策しないといけない」榛葉幹事長が「何となくそうかなと思っていたんですが、実際にその数字を見て驚愕しました」と語り、国民民主党が女性から支持されていないことについて言及した。


 その記事についてはこちらを参照願いたいが、私は国会議員が20人しかいない国民民主党が心配するにしてはかなり浮ついた反応だと感じた。結論から言えば、この規模の政党がそんなことを気にするよりも、もっと優先順位の高い課題に取り組めと言いたい。中道から右を総取りできるポテンシャルがあるのだからしっかりしてほしい。

そもそも君らのことは知られていない

 私は小学3年生の頃から新聞やテレビで政治のニュースを見てきたし、家庭では父親と政治談義もしてきた。高校もそれなりに頭の良かった学校だったので基本的には時事問題の分かる同級生ばかりだった。大学でも政治学科に在籍していたのでここでもやはり政治や歴史の分かる仲間ばかりだった。家庭や学校などで政治が分かる人がいることが当然だった私が言葉にするのは少し辛いが、多くの国民は政治が分からないし、興味がない。むしろ口にしないことが正しいとすら思っているのが普通だと思う。そんな理解の国民に残念ながら国民民主党は認知されていない。誰に支持された、されないで心配する以前の問題である。


 おそらくそこら辺を歩く国民に「国民民主党を知ってますか?」と聞いても分からないと答える人が続出だろう。「立憲民主党と国民民主党の違いは?」とか「国民民主党が大事にする理念は?」なんて聞いたら限りなく正解はゼロだ。記憶の片隅にある民主党の存在をポツリと言い出すのがやっとの人も多いだろう。2012年の総選挙での民主党下野以降の弱小野党の離合集散を興味を持って見てきた人はたぶん政治オタクしかいない。だから「○○に支持されるためには」を考える以前にそういったレベルの庶民に名前を覚えてもらうことが何よりも大事である。


 もちろん、共産党やれいわみたいに非現実的なことを言うのは理解できないし、自民党の堕落した政治を是認することもできないみたいな比較的穏健な国家観と危機感を抱く人からの支持は大きい。良く言えば玄人好みのプロ集団だが、悪く言えばインテリ御用達のお行儀のいい坊っちゃん、お嬢ちゃんの集まりだ。言葉は悪いが馬鹿の目線になって、がむしゃらになる姿を見せてほしい。ただし、彼らを見下すとそういうことには敏感なのですぐバレてしまうから気をつけてほしい。


本来の顧客をまずはがっちり掴め

 そもそも旧民主党から始まる国民民主党の主たる支持層はどこかということを思い出してほしい。それは主に連合に加盟する民間労組だ。より率直に言えば大企業勤務の正社員の男性である。彼らが日々の政治活動や後援会活動や選挙活動の手足となり、投票してきてくれたからこそ2009年の民主党政権交代も実現した。


 しかし「悪夢の民主党政権」と揶揄されてから本来の支持者である彼らの心を完全に取り戻すことができていない。組織内候補に投票せず自民党候補者に投票している割合が一番大きいという調査すらある。国民民主党がやるべきはかつての固定客にもう一度信頼してもらうことではないだろうか。労働者、納税者、消費者の立場に立った政策実現に愚直に取り組み、とにかく各企業の労組に出向き情熱と理想を語り、過去の失敗からの立ち直り中に何をしてきたか説明できるようにしてほしい。


 それをせずに「女性の支持が…」なんて言ってるようではいつまで経っても弱小野党のままだ。自民党に上手く唆されて衛星政党になるなら今のままでいいが、そんな体たらくでは遅かれ早かれ滅亡するだけなので、国民全体に認知され、過去のファンと関係修復してこそ、国民民主党は政界のセンターに立てるはずだ。


どの女性を重視するか決めてから考えよ

 女性からの支持が低いことに悩んでるようだが、百歩譲ってその人たちからの支持を得ることに努力することにしよう。では具体的にどんな女性に支持されたいのかというのが私はとても気になる。10代、20代の若者なのか、子育て世代のママなのか、子供の巣立ちも見えてきた中高年のおばさんなのか、おばあちゃんなのかという世代の違い。あるいは未婚と既婚、都会と地方、バリキャリと専業主婦、大卒と非大卒など生き方の違いに焦点を当てるのか。ここもはっきりさせるべきだ。


 正直言って、全員から愛される組織は存在しない。いくら○○というアイドルグループは一番売れてて!と力説してもドルオタ以外にはピンと来ないように、見えてる世界によっては有名か無名か、唯一無二かワンオブゼムかは全然異なってくる。誰にでも愛されそうな中途半端な政策や当たり障りのない理念を訴えても埋没するだけだ。だからこそ仮にやるなら、若い女性のキャリアや所得を良くしますとか103万円の壁をぶち壊しますとかターゲット層を決定した上で支持を得るべきである。全ての女性にウケのいい政党は全ての男性にウケのいい政党を作るよりもたぶん難しい。


 多少、偏見も入っているが「女の敵は女」という言葉があるように、表では仲良くしているように見えて、裏では対立と分断が生じてるという事例が思い浮かぶ人も多いのではないだろうか。子育てママを大事にすると言えば未婚女性は面白くないし、仕事熱心な女性の生き方を支援したら専業主婦は疎外感を覚えるだろう。男女平等が実現してないからそうなのだと言えばそうなのだが、男性のように背負うものが少なくて選択肢が多いということは、逆に多様な希望やニーズを持った人に向き合わなければならないということである。


そもそも政治に興味がない女性が多い

 こんなことを言ってしまえば議論にもならないのだが、天下国家を語ったり、経済や安全保障、外交、エネルギーなどの国家の基本政策を考えたりするのが好きな人はやはり男性が多いように見える。新聞の世論調査を見ても男女別になった設問で分からない、答えないという意見なしの割合は女性の方がいつも多かった記憶がある。ただでさえ政治的無関心な国民が多い日本でさらに興味がない人たちの歓心を買おうとすれば、それはポピュリズムにもつながり、結果として無責任な政治につながって危険である。


 体感としての話なので違うなら違うと教えてほしいが、そんな政治に興味のない割合が多い女性の中でも比較的関心のある政策といえば教育や子育て、税金、社会保障とミクロで目の前のこと優先になりがちだ。決して悪いとは思わないし重要だとは思うが、日本国の繁栄や日本国民の生命と財産の保護という視点ははっきり言って薄い。政治に必要な公共のため、次世代のためという責任感も薄い。

フリュー株式会社「GIRLS’TREND 研究所」調べ

「僕の思い込み」ではいけないので以下の連合調査のデータを見つけたが、やはり女性の政治への関心は低い。この辺を突き詰めていけばジェンダーや男女差別の問題まで検討しないといけないが、この記事の本題ではないので皆さんの自主的検索に委ねたい。

https://www.google.com/url?sa=t&source=web&rct=j&url=https://www.jtuc-rengo.or.jp/info/chousa/data/20150803.pdf%3F53&ved=2ahUKEwi918aTwp39AhXBrVYBHej_AR44HhAWegQIBhAB&usg=AOvVaw379SNM7Mro7RJgnStgcy9K

 政治に関心のある同年代の女性がいたら素敵だと思うが、口を開けばジェンダーとかフェミニズムとか子育てとか年金ばかり話題にされたら「自分のことしか興味ないんだな」と個人的には冷めてしまう。自分の生活がよくなるために政治があると思うのは悪くはないけど、政治とは究極的には「異なる他者との利害調整による前進」が目的だと思うので、自分ファーストで動く人は男女問わず支持できない。



組織が大きくなってから考えてみては?

 国民民主党は今春の統一地方選挙での地方議員倍増を目標にしている。私もそう言えば昨夏に公募に応募して最終面接までやって力及ばず不採用だったと思い出したが、私が見る限り公認を貰えた人は地元に根付き、ちゃんと社会人経験のある即戦力が多そうである。そういう意味では、猫の手も借りたいで無職の私を市議会議員選挙にぶち込む愚行は避けたわけだから、選考システムは機能してる。(私はまずは自分の生活と人生の立て直しを頑張る)


 誰に支持されるか、されないかは、それなりに組織として規模が大きくなってブラッシュアップを図るときに考えたらいいのではないか。新興政党から卒業し、非自民非共産の改革中道政党としての立場を明確化して個性を発揮すれば自ずと味方は増えていくはずである。


 一番最悪なのが、女性ウケ、それもかなり限られた女性のウケを狙ってパッケージとしての各種政策が歪められることである。教育・子育てに関心が高いからそこを重点化しよう!と思いつきで始めたら、おそらくどこかでそれに食いついて支持者になった女性とそれ以外で対立しそうだ。子育ての苦労は同情するが、ある意味子育てしかしてない人に外交・安全保障、憲法改正、エネルギーなどのかなりハードで、価値観が分かれる政策を理解、支持してもらうことは厳しいと思う。政治は同時並行であらゆることを決定し、実現させる必要があるのでいつまで経っても子育て、子育てと言ってるママにお付き合いするのも限界がある。総合商社的な何でもできる政党としてのブランドを確立してからどんな人に応援されたいか決めるようにしてほしい。

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