Dan Seiga

ファンタジー作家ダンセイニ卿(Lord Dunsany)、ジャポニスム劇作家デイヴィッ…

Dan Seiga

ファンタジー作家ダンセイニ卿(Lord Dunsany)、ジャポニスム劇作家デイヴィッド・ベラスコ(David Belasco)、映画監督の野淵昶(Akira Nobuchi)、インド神話「翻訳家」のベイン(F. W. Bain)といった人物に関心のある在野研究家。

マガジン

  • 【特集】F・W・ベインの印度物語

    大学教授であり、いわくつきの翻訳家でもあったイギリス人のF・W・ベインが発表したインドの物語にまつわる特集です。

  • 【特集】詩人グレース・ヒバード

    19世紀末から20世紀初頭に活躍した、アメリカの女性詩人グレース・ヒバードにまつわる作品をまとめたマガジンです。

  • 【特集】ロード・ダンセイニ

    アイルランドを代表する作家ロード・ダンセイニ(1878-1957)関連の記事をまとめています。

  • 【特集】ロード・ダンセイニを経由して知った人物・事物

    私のお気に入り作家であるファンタジー作家ロード・ダンセイニとその著作を通じて知った人物・事物をまとめたマガジンです。※カバー画像はシドニー・サイムのRomance Comes Down Out of Hilly Woodlands (1910)です。

  • 【特集】詩人ローレンス・ホープ

    ローレンス・ホープという筆名で、20世紀初頭にベストセラー詩人になったヴァイオレット・ニコルソンに関する記事をまとめたマガジンです。

最近の記事

  • 固定された記事

アイルランドの貴族作家が見たトンデモ「日本」

皆様、ごきげんよう。ファンタジー作家のロード・ダンセイニが日本文化から受けた影響について、研究を続けている弾青娥です。 私のペンネームである弾青娥は、ダンセイニの名をもじったものです。このダンセイニは、15世紀からの歴史を有するアイルランドの貴族の第18代男爵で、6フィート4センチ(約1.9メートル)の長身を誇りました。今回の記事では、若い頃から東洋趣味を有していた、この長躯の男爵が20世紀初頭に観た戯曲に、フォーカスを当てます。 (注:研究者名、翻訳者名に言及する際、敬称

    • 今回のF・W・ベインの印度物語の投稿以降、記事アップのペースが不定期になります(月1回のペースでできれば理想だと考えております)。ご容赦くださいませ。

      • 【翻訳】F・W・ベインの印度物語 ~日輪の堕落~ ②

        前章につきましては以下の記事をご覧ください。 日輪の堕落The Descent Of The Sun 英訳:フランシス・ウィリアム・ベイン 和訳:弾青娥 夜 睡りと夢 第一章:昼の蓮  アヌシャイニーは森から姿を消した。幾許もなく、流星のように地上に堕ちると、インディラーラヤ国の王の愛妻の子宮のなかに入り、人間となってその王の娘として生まれた。その刹那、アヌシャイニーは自身の体から光輝を放って産褥の間を照らした。その輝きたるや、灯火を圧倒するばかりであった。子守たち

        • 【翻訳】詩人グレース・ヒバード その14 ~ミモザの木の下で~

          ミモザの木の下で Under a Mimosa Tree 露のしずくたちが風に揺れる草に残り、 陽光に照らされる蜻蛉がすばやく舞うと、 唸る風に吹かれる〈イトスギ〉の木が黒ずんだ大枝を上げる―― 雲一つない青を湛える空へと。 ハチドリが黄金の杯から蜜を吸い、 生け垣に隠れて鳥が歌ると、 花に囲まれて舞う蝶が教えてくれる―― 我が魂にも羽があると。 今回、紹介いたしましたのは、グレース・ヒバード(1835-1911)というアメリカの女性詩人が1893年の詩集Wild Pop

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        アイルランドの貴族作家が見たトンデモ「日本」

        • 今回のF・W・ベインの印度物語の投稿以降、記事アップのペースが不定期になります(月1回のペースでできれば理想だと考えております)。ご容赦くださいませ。

        • 【翻訳】F・W・ベインの印度物語 ~日輪の堕落~ ②

        • 【翻訳】詩人グレース・ヒバード その14 ~ミモザの木の下で~

        マガジン

        • 【特集】F・W・ベインの印度物語
          6本
        • 【特集】詩人グレース・ヒバード
          15本
        • 【特集】ロード・ダンセイニ
          18本
        • 【特集】ロード・ダンセイニを経由して知った人物・事物
          20本
        • 【特集】詩人ローレンス・ホープ
          46本
        • 【特集】野淵昶
          10本

        記事

          【詩】徒然と綴れば

          やいのやいのと口さがない いかにも転び落つ心のよりどころ 巡るは鼓動の調べ 電子辞書の履歴にあった言葉を無造作に並べ、そこに加筆を加えてこしらえたものです。

          【詩】徒然と綴れば

          【詩】我が心

          ひっくりかえった底なし沼は 頂なき空に 我が心もそうなろうか

          【詩】我が心

          【翻訳】詩人グレース・ヒバード その13 ~海辺のサンフアン~

          海辺のサンフアン San Juan by the Sea 夕日を浴びる貴方を見た、 海辺の麗しいサンフアンを、 帯状に連なる黄金の光輪のような 西の空だった。 海の紺碧色が 空の橙色に交われば、 やがて極淡の黄金色に変わり 天上では星が一つ耀いた。 このたび、紹介しましたのは、グレース・ヒバード(1835-1911)というアメリカの女性詩人が1893年の詩集Wild Poppiesに収めた作品です。原文につきましては、こちらのInternet Archiveのリンクから確

          【翻訳】詩人グレース・ヒバード その13 ~海辺のサンフアン~

          【翻訳】ファンタジー作家ロード・ダンセイニ ~ラスト・レボリューション抄訳~

          皆様、ごきげんよう。弾青娥です。 1878年の7月24日に生まれたファンタジー作家ロード・ダンセイニの誕生日を祝うべく、このアイルランドの文筆家が1951年に上梓したSF小説のThe Last Revolutionの翻訳のごく一部を以下に紹介いたします。 ロード・ダンセイニに関しましては、以下のマガジンにおいて様々な研究記事、そして作品の翻訳を発表しております。こちらもぜひチェックしてくださいませ。

          【翻訳】ファンタジー作家ロード・ダンセイニ ~ラスト・レボリューション抄訳~

          【翻訳】詩人ローレンス・ホープ その42

          密林の花 The Jungle Flower ああ、陰の刻は冷涼なる静寂なれば、 密林の花の香と色は何と見事か。 貴方はその密林の、不可解で烈しくも美しい花の一輪なり 冠絶した外形の、この上なく淡い琥珀で、花の香を漂わす 苦を忘れて、ほどいた髪の薄闇にその顔を飾りたまえ 甘美なる貴方はーー大切な人としてーー一刻愛される だが想いははるばる飛んでいく、別の者の胸元へと その胸元の白が、桃色の双輪の花を思わす薔薇色に泡と砕け 我が唇のやさしく触れた蒼穹色の血管がくねる ほん

          【翻訳】詩人ローレンス・ホープ その42

          【翻訳】詩人グレース・ヒバード その12 ~夜の海~

          夜の海 Night at Sea 蝋燭の火のごとく、幾多もの星が燃え 海の深くをも広く照らす 夏の景風のごとく、幾多もの風が戦げば 眠ろう、平穏につつまれて 父なる神が星を照らし 嵐の乱した海淵を静めれば その御声は風を意のままになさった ゆえに眠ろう、平穏につつまれて このほど、紹介したのは、グレース・ヒバード(1835-1911)というアメリカの女性詩人が1893年の詩集Wild Poppiesに収めた作品です。原文は、こちらのInternet Archiveのリン

          【翻訳】詩人グレース・ヒバード その12 ~夜の海~

          【翻訳】詩人ローレンス・ホープ その41

          ラーメーシュワラム寺院の娘の唄 Song of Ramesram Temple Girl 今こそ我が青春の時 それは常ならず 亭主様、貴方も若うございます 貴方の喜びを分かち合いましょう 我が髪が雨粒のようにまっすぐ 朝霧のように細かければ、 私は誰にも触られず、唇を奪われぬまま 貴方を待つ薔薇です 貴方のお望みのままに、この青春と私を 最愛の者よ、祈っております 貴方の青春のさそいに従いましょう 一刻をも無駄にせず! 大枝のうえを舞い 刹那に消え去る一葉ーー 泉のしぶ

          【翻訳】詩人ローレンス・ホープ その41

          【翻訳】詩人ローレンス・ホープ その40

          冠水した稲 The Rice was under Water 〈稲〉は水に浸かり、土地は雨に蹂躙され 夜という夜が寂寥と化し、一日が苦とともに始まった 飢饉、熱病、惨くもあふれた小川にも屈せず この私をお慰めになるクリシュナだけは生き延びた!――夢のなかで 〈川岸の火葬場」〉から煙が上がり、宝石が溶け、 〈寺院〉は打ち捨てられた――町から人が失せたゆえに 奇妙と一瞬思われるかもしれぬが、私は歓喜していた 愛してくださるクリシュナと幾夜を過ごしたのだから!――夢のなかで

          【翻訳】詩人ローレンス・ホープ その40

          【翻訳】詩人グレース・ヒバード その11 ~つぐない~

          つぐない Compensation 空一面に黒の雲がかぶさり 見えるのは星一つだけ 嘆きがもれた、絶望のあまり 「眩い星よ、私を照らせ」 たゆたう紫の雲に 星は隠される だが、あの雲たちがかつていた地に うるわしい月が皓々とかがやく 今回、上掲しましたのは、アメリカの女性詩人であるグレース・ヒバード(1835-1911)が1893年の詩集Wild Poppiesに所収した作品です。原文は、こちらのInternet Archiveのリンクからチェックできます。 作者のグ

          【翻訳】詩人グレース・ヒバード その11 ~つぐない~

          【映画感想】野淵昶『滝の白糸』(1952年)

          皆様、ごきげんよう。弾青娥です。 今回の投稿ですが、1935年から映画監督としておよそ20年近く活躍した野淵昶の誕生日(1896年6月22日)を祝うべく、この再評価が待たれる監督の作品に対する感想文になります。 本文は、約1年前に投稿した野淵昶の生涯の記事3本のリンクの後に続きます。 『滝の白糸』(1952年)※こちらの映画感想は、2019年の3月に京都市図書館で『滝の白糸』のVHSを見た後に書いた感想に加筆をほどこしたものです。 泉鏡花の短編小説「義血侠血」を川上音

          【映画感想】野淵昶『滝の白糸』(1952年)

          【翻訳】詩人グレース・ヒバード その10 ~りんごの花~

          りんごの花 Apple Blossoms 快い春のある日のこと あの女はあの男にりんごの花を渡した 意味を知らぬまま 「私の心はあなたのもの」と花がささやいた けれども、あの女の恋心はなぜか いかめしく冷淡な男を避けるようにさすらった 桃色がかった白い可憐な花が 老齢のりんごの木からふらりと離れるように 男は、女の温和な青い目を見た刹那 昔から語られる素敵な話を思い出した 女の頬をさっと横切る りんごの花びらの桃色を見た瞬間も 今回、紹介いたしましたのは、グレー

          【翻訳】詩人グレース・ヒバード その10 ~りんごの花~

          【翻訳】詩人ローレンス・ホープ その39

          サボテンの茂み The Cactus Thicket 「アトラスの山頂群が紫色の闇に包まれるも  はるか高くで邪魔されず、黄金の月輪がくっきりと昇った  サボテンの茂みは真紅の花で赤で飾られると  物言わぬ影をつたい、あの者がやって来た」 「十六回迎えた夏は常に、通り過ぎるあの者が  歩を止め、私の美に気付いてくれることのためだった  星群よ! 格別なる証人となれ! この唇はあの者のものだった  そこに閉じこめられている限り、この身は生きられぬ」 「私を連れていけ、〈死

          【翻訳】詩人ローレンス・ホープ その39