苦味と酸味(詩)
舌の中に残っているのは
いつも苦味と酸味だけ
今ここに来てないなら
死んだのと同じだね
資本主義が評価してるのは
結果を残した人間ではなく
毎朝来られる人間なんだね
気付くのがちと遅かった
新宿で巣を作るネズミも
静かに飛べない鳩達も
肌先をまさぐるハエも
眠い目を擦ってる僕らも
舌の中に残ってるのは
いつも苦味と酸味だけ
生きていて残ってるのは
いつも苦味と酸味だけ
血が街に降り注いで
ミシン抱えて逃げ出した
胃から戻ってくる酸と
昨日の肉に塗れている
時代が巡っているけど
最後はいつも悲しいさ
肌先に群がるハエ達も
いつかは羽をもがれる
舌の中に残っているのは
いつも苦味と酸味だけ
死ぬ時体を覆うのは
いつも苦味と酸味だけ
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