2023年8月13日 「古本とマルジナリア」

今日も古本まつり。

収穫は
①唐木順三『あづま みちのく』(中公文庫)
②唐木順三『続 あづま みちのく』(中公文庫)
③大江健三郎『ヒロシマ・ノート』(岩波新書)
④福田歓一『近代の政治思想─その現実的・理論的諸前提─』(岩波新書)
⑤廣松渉『新哲学入門』(岩波新書)
の5冊。

これだけ買って900円なんだからありがたい。

③にはところどころ傍線が引いてあって、奥付の前の最終ページには「一九九四年十一月三十日感激をもって読了。これほどに魂をゆさぶられた書物は他にない。」と朱色の筆で書かれたマルジナリアがある。最後に名前らしき2文字が書かれているが、判読不能。とかくこういうものがあるから古本は良い。名も知らぬ人がさほどに感激した本をこれから私が読むのかと、やや気負いもする。こういう気分が読書に彩りをくれる。

台風が近づいている。

(略)ここで僕は沖縄の被爆者の鋭い棘にみちた言葉を書きとめておくほかにさしあたってなにひとつできないことを恥じるのみである。《日本人はもっと誠意をもってもらいたい。いつもアメリカのご機嫌をとっていて、人間の問題を放置している。もし、やるつもりがあるなら、すぐにもやってくれ、すぐさま行動に示してくれ。それがみんなの心です》
 かれらの存在と呼びかけの声が、かくもぬきさしならないものである以上、われわれの誰の内部で、広島的なるものがすっかり完結してしまうだろう?

大江健三郎『ヒロシマ・ノート』(岩波新書)、p.13

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