映画 『ティファニーで朝食を』と日本人について

おそらくタイトルで内容を察する方も多いだろうが、先日見た『ティファニーで朝食を』と、作内に登場する日本人キャラクターについてなど思った事を書く。始めに断っておくと、一連の描写について特段否定的ではないし、約60年前の映画を非難するつもりも無い。

まずは作品の概要から。『ティファニーで朝食を』は1961年に公開された映画で、ニューヨークを舞台に、自由奔放に生きる女性主人公を描く。主演はオードリー・ヘプバーン。主人公ホリーは玉の輿狙いの女性であり、自称作家のポールと親しくなる。大富豪との結婚が決まるものの、最後にはお金よりも大切なものに気づくという普遍的なテーマである。

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この映画には日本人が登場する(原作小説では日系アメリカ人という設定であるが、映画では明確な発音の日本語と意図的な日本人的英語の台詞回しから、日本人として描いていると思われる)。これがミッキー・ルーニーが演じたユニオシというキャラクターである。背が低く出っ歯でメガネ。他の登場人物と比べても特別に酷い容姿である。これが当時は受け入れられていたらしい。

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今でこそ差別的描写であるとされていて、当時のプロデューサーも謝罪しているくらいだが、公開当時、観客には好意的に捉えられていたという。事実として、これが当時のアメリカ人、ヨーロッパ人の感覚だったのだろう。日本人自体を見たことがない人も多かったそうで、今更ながら自分たちは極東の島国で生まれ育った人間なのだということを意識することになった。いや、前から意識はしていたけれどもより強く感じられたのだ。だからどう、という事はないけれど、概念的に世界全体の流れの中心から外れた存在なのだと思った。

まぁこれは、その時代の事実であるというだけだ。当時を思えば、今のボーダーレス化していく社会はとても良いものだとも思う。多くの観光客が日本に訪れ、親しみを感じてくれるのも嬉しい事だ。インターネットで世界中とつながる時代である、もちろんネガティブな側面もあるけれど。

この映画自体は楽しめた。今見てもヘプバーンは美しかったし、ファッションもスタイリッシュだった、特に退屈もしなかった。昔の映画は、当時の文化を知るという意味でも重要なので今後も見ていこうと思う。そして最後に『Moon River』を紹介しておこう。グラミー賞など数多くの賞もとっているし言わずもがなの名曲。アンディ・ウィリアムスの歌もいいけど映画も見た人はオードリー・ヘプバーンの歌の方がしっくりくるだろう。




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