見出し画像

コロナ禍を経験した5歳児の発達に関する記事に触れてみて

偶然、携帯を見ていたら5歳児の発達の遅れのニュースが目に飛び込んできました。内容は、コロナ禍において3~5歳児の発達への影響についてというものでした。

多くの既存研究は、コロナ禍が就学児の学力などに負の影響を与えることを示唆しています。しかし、コロナ禍が乳幼児の発達にどのような影響を与えたのかは、これまでほとんど分かっていませんでした。
 佐藤豪竜 医学研究科助教、深井太洋 筑波大学助教、藤澤啓子 慶応義塾大学教授、中室牧子 同教授からなる研究グループは、公益財団法人東京財団政策研究所と共同で、首都圏のある自治体の全認可保育所に通う1歳または3歳の乳幼児887名に対し、2017年から2019年までの間に1回目の調査を行いました。2年後に2回目の調査を行い、追跡期間中にコロナ禍を経験した群とそうでない群の間で、3歳または5歳時の発達を比較しました。分析の結果、5歳時点でコロナ禍を経験した群は、そうでない群と比べて平均4.39か月の発達の遅れが確認されました。一方、3歳時点では明確な発達の遅れはみられず、むしろ発達が進んでいる領域もありました。また、コロナ禍で、3歳、5歳ともに発達の個人差・施設差が拡大していることも明らかになりました。

京都大学HP『「最新の研究成果を知る」2023年7月11日公開記事』

一般的に5歳児の発達は、社会性やコミュニケーション能力、理解力、記憶力といった著しく発達する時期で、養育者にとっても保育の面からもとても楽しい時期だといわれています。

掲載された記事によると、コロナ禍を経験した5歳児は未経験の子どもと比べて4か月程度の発達の遅れがあったそうです。一方、1~3歳でコロナ禍を経験している子供はそういった遅れがみられなかとのことで、コロナ禍で保護者と過ごす時間が増えたことが発達に良い影響を与えたようです。

5歳児は社会性、コミュニケーションが育まれる時期であり、保護者以外や加えてお友達とのコミュニケーション不足が将来に影響することを少し心配されるお母さんも少なくないと思います。


コミュニケーションは往々にして非言語を読み取る力にも大きく影響を及ぼします。私自身、過去に自閉症の息子に対して子育てをしている際に、「オーバーアクションで接する」ことが役立った経験があります。後になって、心理学を学んでより「非言語の感情表現」も重要だと気付きました。

いろいろなことが起こる昨今、私たち大人ができることは、将来の子供たちが少しでも生きやすいように知恵を紡いでいくことにあると感じます。

私が思うのは、例えば通りすがりの全く知らない子供たちと目があったときに、ささやかでごく自然にできることは、笑顔を贈ることであったり、非言語での伝え方は無限にあると思います。子育て中はなかなか時間に余裕がない状況になりがちです。だからこそ、一人でも多くの養育者の方々が、なんとか気持ちはゆとりを持って過ごせる日々でありますようにと願うばかりです。

Image from Adobe Stock

現在の私は、たまに会う孫たちとのコミュニケーションに、『考える力』『オーバーアクション』『非言語の感情表現』をふんだんに使っています。

『考える力』は、「あきらめない気持ち」と「集中する力」を、『考える経験の数』は多くなると現象に対して「整理する力」も育まれるように感じます。
子どもが小さい時の『養育者のオーバーアクション』は、子どもが人前に出るときの恥ずかしさを軽減し、勇気を出す手助けになっているように思います。人前で行動できることは、社会性を身につける上でも大切なことです。
また、『非言語の感情表現』は子どもがしっかり受け止めていることを確認し、あいまいにならないように伝えることを意識しています。オーバーアクションとも関連していますが、私たち大人は、非言語の情報も子どもに届くことを意識して感情をきちんと伝えることで、子どもが「相手の様子を考える力を養う」のをサポートすることも大切だと感じています。

子どもと遊ぶ家族の画像
Image from Adobe Stock

これまでの子育ての経験を踏まえて、孫育で接していて、改めてこれらの要素をうまく取り入れることで、養育者と子どもの絆がより強くできるようになるだろうと実感しながら文面を書いています。
目にした記事から、私なりに考えたことを書いてみました。今回も読んでくださってありがとうございました。


【書誌情報】
Koryu Sato, Taiyo Fukai, Keiko K. Fujisawa, Makiko Nakamuro (2023). Association Between the COVID-19 Pandemic and Early Childhood Development. JAMA Pediatrics.
【DOI】 10.1001/jamapediatrics.2023.2096


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?