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昭和30年代男 日本経済を愚痴る(5)


 私はアメリカに住んだこともなければ一次資料を読む英語力があるわけではありませんので、マイクロソフト365のコパイロットに訊ねてみました。
【質問】
2023年におけるアメリカ人の平均賃金
【回答】
アメリカでは、2023年2月時点での平均時給は約29.71ドル(日本円換算で約4500円)です。これは、1日7時間労働の週休2日での月収に換算すると、約70万円に相当します。アメリカの平均時給は10年前の約24ドル(現在の為替相場換算で約3200円)から4割ほど上昇しています。一方、日本の時給は正社員で約2000円前後、アルバイトでは約1000〜1100円の推移が続いています。

 なるほど、なるほど・・・。
 確かにこうしてみると、日本はずいぶん昔から稼げない国だったですねぇ。だって日本の時給は正社員で約2000円に対し、アメリカでは端数を切り捨てても29USドルだそうです。しかも10年前は約24ドルで、10年間で40%も時給がアップしていたんですね。かたや日本ではいくら上がりましたか?
 これじゃあ円安が悪者というよりも、円安で日本の安さに拍車がかかったというだけの話であり、仮に1USドル=80円の超円高になったとしても円換算は2320円なので、アメリカのほうが高いじゃありませんか。今になってふり返ってみれば、超円高は過度に日本経済に鞭打って経済的には死屍累々を築いたことがわかります。だから、現時点で急に超円高になって29USドル=2000円・・・つまり1USドル=70円ぐらいになれば日本とアメリカの平均時給は円換算でほぼ同額になるかもしれませんが、日本経済がどうなるか、考えただけでも恐ろしいです。
 でも、1USドル=100円を割れてきた1990年代半ばに、私は不覚にも日本経済の未来にこれっぽっちも不安を感じることはありませんでした。この前年の1993年の夏休みは夢のハワイ旅行をしましたが、概算でドル表示を100倍すれば日本円に換算できるので、ハワイでは何を買っても何を食べても割安に感じたものです。私はすでに30歳代で結婚もしていましたが、この年齢になっても夫婦で夏休みにハワイ旅行ができ、しかもハイットリージェンシーに宿泊してもさほど高く感じないのですから、つくづく日本の会社に勤めて給料をもらっていることの幸運にひたっていたものです。
 これは決して誇張ではありません。
 この時期の日本経済はバブル崩壊の影響が如実にあらわれていたはずですが、私は会社の業績こそ落ち込んでいたものの雇用不安を感じることも大幅な給料引き下げに見舞われることなく、やがて不況を脱して日本経済は上向くと、私の身の回りにいた人は同僚のみならず経営陣でさえ、そんな楽観的な見通しをいだいていたのです。
 こんな私は人並みはずれて愚かだったのでしょうか?
 負け惜しみで言うわけではありませんが、1990年代前半に令和の「安いニッポン」を予測し、将来の日本経済に危機感をいだいて備えを怠らなかった日本人って、決して多くなかったと思います。少なくとも日本で30歳代から還暦すぎまで日本で働き、家を買って住宅ローンを払い、50歳をすぎたあたりから毎月多少なりとも蓄えを積む余裕ができた・・・という日本人が少数派だとはとても思えないのです。
 ただ、1990年代前半からの約30年間において、私を含めた決して少数派ではない日本人は、経済的には愚かな選択をしていた気がしてなりません。それはひとえに、日本政府や日本経済を信用しすぎたことによるものだと、今はつくづく思います。


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