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昭和30年代男 日本経済を愚痴る(6)

 私の知人に、もう30年ほどカナダで暮らしている同年代の日本人がいます。知人と言っても直接会ったことも話したこともない間接的な知人ですが、その方は大学卒業後大手メーカーに勤務していて、ちょうど1990年代前半の30歳代に社命によりカナダへ赴任しました。普通であれば数年のカナダ勤務ののちに再び社命により帰国の運びとなるわけでしたが、その方は帰国を拒んで大手メーカーをいったん退職したのち、同じ会社の現地採用社員としてカナダで働きつづけています。海外赴任時にはすでに奥様もお子様もいらっしゃいましたので一家三人で赴任し、カナダでもうお一人お子様が生まれています。下のお子様は日本語がほとんど喋れないそうです。
 私はこの一家が帰国命令を拒否して現地採用社員となったとの話を聞いたとき、正直「もったいないことをしたなぁ」と思いました。なにしろバブルが崩壊したとは言え日本経済はまだまだ世界経済に占める割合は大きかったですし、円高の時代でもありました。大手メーカーの正社員であり、海外駐在ができるほどの英語力をお持ちならば、海外法人社員との賃金の差はいかばかりだったかと思います。現実問題として当時だいぶ収入は下がり、奥様もいわゆる「駐妻」から「働く妻」になったと聞きました。また、のちに下のお子様が日本人でありながら日本語をほとんど喋れないということをお聞きし、日本人の両親から生まれながらカナダ人として生きなければならないことにいくばくかの哀れみをいだいたことも覚えています。つまり、私は日本人であることの幸運を無条件に信じていたんですね。
 今も私は日本人に生まれて良かったと思っています。ただ、日本人としてあたりまえのように日本で生活していたために、諸外国の国民が享受していた1990年代からの30年間の経済成長を享受できず、同じように懸命に働いていても、諸外国の国民に比して貧しい経済情勢で還暦を迎えたことは間違いありません。
 前回同様、コパイロットに【カナダの平均賃金】と打ち込むと、次のような回答が返ってきました。
【回答】
カナダの平均給与は年間で94,674カナダドルです。最も一般的な収入は68,899カナダドルです。カナダの最低賃金は州ごとに異なります。2023年10月現在のバンクーバー(BC州)とトロント(オンタリオ州)の最低時給は以下の通りです。
バンクーバー: $16.75
トロント: $16.55
バンクーバーでは最低時給が2023年6月1日に$15.65から$16.75に上がりました。トロントでも2023年10月1日に$15.50から$16.55に増加しています。カナダの主要都市では、日本の平均的な時給と比べて約1.5倍高いことになります。

 如何でしょうか?
 現時点(2024年4月6日午前6時付け)では1カナダドル=111円55銭だそうですから、確かに16カナダドル×111円=1776円。かたや日本一の東京都では直近2023年度は1113円ですから、カナダの時給は日本の5~6割がた高いということになります。これだって単に過度な円安だからということでは説明できません。
 でも、カナダは主要先進7か国(G7)の一角を占める国ではありますが、カナダ人と日本人、それぞれどんな日常生活を送っているようなイメージがありますでしょうか?


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