見出し画像

【7日間ブックカバーチャレンジ(6/7)】 齋藤 裕 『ヴィラ・マイレア―アルヴァ・アールト』(2005年9月3日), TOTO出版

画像1

建築に興味を持ち始めたのは、小学生の頃に実家の間取りが気になり始めてからでした。家族の問題のほとんどは間取りの問題に帰結するのではないかとさえ思っていたほどです。

それからVitra.やHerman Millerなどのカタログをインテリアショップで入手しては隅から隅まで眺め、『Casa BRUTUS』などの雑誌も定期購読している中で、安藤忠雄さんのことを知ったのが建築(家)への興味の始まりだったと思います。著書も読み、講演も拝聴しました。建築家への憧れがあった私にとっては、独学で建築家になられた安藤忠雄さんのことを特によく追いかけていたものでした。

画像3

そこから、ル・コルビジェ、ミース・ファン・デル・ローエ、フランク・ロイド・ライト、レンゾ・ピアノ、ルイス・カーン、I.M・ペイ、オスカー・ニーマイヤー、フランク・ゲーリー、前川國男、吉村順三、丹下健三、谷口吉生など、一通りモダニズム周辺の代表的な建築家の思想に刺激を受けながら、日本はどうしてこうも画一的で窮屈な住居あるいは建物(ビルディング)ばかりなのだろうかとよく思っていました。

フランク・ロイド・ライトの「落水荘(アメリカ・ペンシルベニア州」や、谷口吉生さんの「ニューヨーク近代美術館 新館」など建築家の作品のいくつかには実際に訪れたこともあります。

画像3

建築に興味を持った当初は、鉄とコンクリートとガラスなど近代的な素材を用いた直線的な建築の力強さや洗練に心を惹かれていたのですが、次第に関心は自然と共にある空間へと移っていきました。そうした中で、出会ったのがこの『ヴィラ・マイレア』です。アールト(アアルト)と言えば、フィンランドにある湖のをモチーフにしたとも言われるガラスが波打ったフラワーベースがインテリアショップなどでも目にすることができるため、よく知られているのですが、建築にも素晴らしいものがあります。

画像4

アールトの最高傑作とも言われる『ヴィラ・マイレア』は、友人夫妻のために作られたもので、そこには画一的なものなどはありません。外観は一見不揃いのように見えますが、実際は夫妻の暮らしにあった家族の団欒と社交のための空間が豊かにまとめあげられています。

斎藤裕さんの写真は、どのページも心を奪われるほどに美しく、緑豊かな自然の中で移り変わる四季折々の陽射しを浴びて表情を見せるこの家の"時(とき)"に、無限の没入があり、幾度と見るたびに、果てしない郷愁の旅に出かけたような気持ちにさえなります。

TOTO出版よる書籍紹介
https://jp.toto.com/publishing/detail/A0259.htm

- - -
ブックカバーチャレンジとは「読書文化の普及に貢献するためのチャレンジで、参加方法は好きな本を1日1冊、7日間投稿、都度1人の友人にバトンを渡す」というものです。私は、少しアレンジして「カバー、目次、奥付」の画像と、一言コメントを紹介しています
---

*Facebookに投稿したものを転載しています。


この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?