見出し画像

【ホームレス】という着ぐるみを着た【天才】

ホームレス小谷という友達がいる。

つい最近まで自分の1日を50円で売りながら、彼の1日を買った人にごはんを食べせてもらい、交通費を出してもらい、

【自分で選んだのではなく、他人に選ばれながら】日々、移動と出会いを続け生きてきた、僕の尊敬する仲間だ。

何がすごいか。それをこれまであまり言葉にして来なかったというか、うまくできなかったのだけれど、そろそろできそうなので書いてみる。

その1【出会う人の種類と幅広さ、そして数が桁違いに多い】

ふつう人は「いつどこで何をするか、誰と会うか」を選択して生きている。仕事をしていたり、オフであったりでさまざまだ。けれど小谷は日々、人に買われ続けている。つまり自分で会う人を決めていない。ただふつうな人に引っ越しの手伝いをお願いされていることもあれば、メガネの大手販売店の社長に買われ一緒にネパール貧困地域にメガネを支援する相方として同行していたりする。自分で選ばず、相手に選ばれることで彼は社会的地位も、考え方も、そして依頼される内容もめちゃんこ幅広いので、それだけの幅のインプット(経験)を日々積み重ねているのだ。それはつまり、それだけ多くの見方や考え方や経験が彼のなかに生み出されているので、彼はどんな人とでも【彼の膨大な引き出しを使って】理解したり、仲良くなっちゃったりする。

その2【出会う人が心を開く。それは彼がホームレスだから。】

「人との上に立ってもなんもええことないすよ!下がええんす!」とこないだ会ったときに小谷くんは僕に言った。人の下に立つことで、その人の本音が出てくるというのだ。人は目の前の存在が自分より上の立場だと思うと、虚勢を張ったり、自分PR営業をかけたり、はたまたへりくだったりすることがあると思う。けれども、彼はホームレスとしてどんな人を相手にしても下に立つ。つまり相手に教えることも、諭(さと)すことも、否定することも、良し悪しを判断することもない。だから相手は彼に心をひらいていく。本音を出していく。それは仏教で言う中道(ちゅうどう)の教えと同じなのだけれど、彼はホームレスとして生きることで勝手にそれを体得してる。

その3【お金を稼いだり、貯めたりするものだと思っていない】

彼は日々【ひとに生かされている】ことで、自分で生きていくためにお金を稼いだり、これからのことを考えて貯めたりするという概念(つまり社会の当たり前)から勝手に抜け出してる。だから、必要じゃない分はいらない。物欲もない。せっかくだからという思いもない。だから、ふつうの人に寿司をおごってもらうことも、大金持ちに100円コーヒーをおごってもらうことも、彼には関係ない。【そのとき必要なもの(食べる、使う)ものがあればそれだけでいい】のだ。

その4【ものごとを本質的に捉える】

その1から、その3をひたすら繰り返してきた小谷くんには、ものすごく幅広く、そして違う角度からものごとを見たり、考えたりするスキルが勝手に身についた。そして執着がないから、ものごとに良し悪しや優劣をつけて(フィルターをかけて)見ることがない。だから、見聞きしたものを本質的に捉えるようなところがある。僕が話しているだけでもしょっちゅう目からウロコみたいなことがある。だからとにかく話していると頭がものすごくオーバーヒートするか、びっくりするくらいクリアになっていくか、その両方が交互にやってくるかのどれかだ。(こないだ彼が写真家・アートディレクターのワタナベアニさんとお茶する機会を作ってくれたのだが、ふたりの圧倒的な経験値と多角的な視点のやりとりに僕の頭は完全にオーバーヒート。全く会話についていくことができなかった・・・)

まとめるとホームレス小谷は

【ホームレス】という着ぐるみを、着た【天才】だ。社会の常識や価値観にとらわれず、ものごとを本質的に見聞きしながら日々、生まれ変わってしまう怪物みたいなやつだ。だから会うたびにゾクゾクする。そして自分という存在を認めてもらえたような幸せな気持ちになる。

おかげで僕の着こなしに赤が増えた・・・。

なんとなく赤を手にとってしまうのだ・・・・。

ホームレス小谷ウイルスにすっかり入り込まれてた僕は、もう次いつ彼に出会えるのか楽しみで仕方がない。

最近のホームレス小谷の記事https://entrenet.jp/magazine/13278/

自分の人生を実験台にして生きているので、いただいたお金はさらなる人生の実験に使わせていただきます!