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【アウェイが僕を育ててくれた】

今日は先輩の冒険家で、先日植村直己冒険賞を受賞した北極男こと荻田泰永さんの事務所に泊めていただいている。本人は恩師のお祝いの席に出席しているのに「いないけど部屋てきとうに使っていいからー」というオトコマエっぷりだ。本人がいないので、鍵の受け渡しのため荻田さんの事務局をされている栗原さんと先ほどまで楽しくお話しながら時間を過ごしていた。

ふと、栗原さんにこんなことを聞いた。「栗原さんがうぉーって盛り上がるものって何ですか?」「うーん、そういうものってあるかな・・・」しばらく考えて、彼はこう答えた。

「しいて言うならフェスかな。フジロックフェスティバル。」おお、僕の知らないジャンルのことだ。よくよく聞いてみた。音楽のためだけじゃない、家族でも友達とでも行って楽しめるお祭り感、大自然に音が抜けていく感じ、とにかくサイコーなんだそうだ。これはいつか行かねばならんな。

僕のこともひととおり話した。いちばん盛り上がったのが【講演会】についてだった。荻田さんも講演をされるが、僕はどちらかというとオトナ向けよりも小中学校が圧倒的に多い。

【学校講演は常にアウェイだ】という話題に栗原さん、めっちゃ笑ってはった。そりゃそうだ。僕だって笑える。なぜなら中学校の、例えば全校生徒向けの講演会のアウェイ感が半端ないからだ。

中学生目線で見たらこうだ。

・突然講演会があるからと体育館に集められる。そして地べたに座らされる。

・1年生は先生先輩に見張られビクビク。2年生はちょっと横向き加減で興味ないオーラを出す。そして3年はもうすでに輪になって話しはじめてたりする。

・もらった講師のプロフィールには「自転車旅人」とか訳の分からんことが書いてある。ただのフリーターやろ?という視線が半端ない。

・「え〜今日はな、お忙しい時間を使って来てくださった講師の先生に失礼のないように!ちゃんと話を聞け!」と教頭先生が挨拶をし、生徒を牽制したうえで、はいどうぞ!と呼ばれる。

これをアウェイと呼ばずしてなんと呼ぼうか!ゼロスタートなことは、当たり前だが、これだとマイナスからのスタートだ!

とここから僕がそんな何百人相手の中学校講演で、どうやって生徒を爆笑させるかという話を聞きながら栗原さんも爆笑してくれた。

・僕が仕事なのか趣味でやっているのか手を挙げさせる

・中学校時代の失恋話を一生懸命に語る

・旅の話もたいがい失敗談ばっかり

・60分あれば45分は笑いに全エネルギーを注ぐぐらいでいく!

あんた誰やねん!というアウェイでの講演。それはそれはすごいエネルギーを使って表現するんだけど、爆笑してもらって、だんだんと中学生たちが次のネタを期待しはじめて、ほんで空気がワッと動いて笑いが生まれ、気づけば僕も話をしているのか、何かに話させられているのか分からんような感覚になり、ほんでなんとなく会場の空気がひとつのまとまりのようになる。

そのときの気持ちよさが忘れられなくて、また全力で、もっと良いトークを目指して日々、人前で話をしている。そのときの感じって、僕もようわからんのやけどミュージシャンのLIVEとちょっと似ているような気がするのだ。

「あとね!トークも旅せないかんと思って、あえて作り込まないで流れに任せて話を進めていくこともあるんすよ!」と言ったところで、栗原さんが「僕もね好きなアーティストがね、いつもとLIVEのセットリストを変えてきたり、歌い方を変えてきたりすると嬉しんですよねー!」と目をキラキラさせて言うてはった。

アウェイにずいぶん育ててもらった気がする。アウェイを楽しめるようになれば、その制限が逆に自分のパフォーマンスを引き出してくれることもある。結果なんて分からない。けど、終わったあと校長室まで会いに来てくれたり、自分の素直な思いを直接語ってくれたり、あとからSNSでメッセージが届いたりするときはサイコーに嬉しいものだ。

北極冒険家荻田泰永さんのホームページ

https://www.ogita-exp.com/


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