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有終の美

誰もが必ず過去の栄光があるはず。
それが他人からは微々たる情報だとしても、記録は明確だ。

こんな事をふと脳裏に過った理由は、邦題「ラスト・ムービースター」という映画を鑑賞したからだろう。

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主演はバート・レイノルズ。
若い世代には名前を聞いてもピンとこないだろうが、1970年代から1990年代頃まで主にアクションスターとして活躍した名優だ。
しかし、この作品は残念ながらバート・レイノルズの遺作となる。
余談だが、クエンティン・タランティーノ監督の大ヒット作品「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」に出演予定だったが、撮影前の2018年9月に心不全のため82歳で死去する。
映画ファンであれば誰もご存知の通り、「ワンス…」はバート・レイノルズとスタントマンのハル・ニーダムをモデルにしたと言われている。

「ラスト・ムービースター」の簡単なあらすじを説明すると、主役ヴィック・エドワーズ(バート・レイノルズ)はかつてはハリウッドスターとして名声を欲しいまま手にして来たが、今は大邸宅に犬と共に暮らす老人である。
ある日、「国際ナッシュビル映画祭」から招待状が届く。
その内容には特別功労賞贈呈したいのでご招待したいといった内容である。
だが、ヴィックは胡散臭いと感じて信じなかった。
そこで友人のソニー(チェビー・チェイス)に話すと、かつてはクリント・イーストウッドやロバート・デ・ニーロが受賞した事があるから出席すべきだとヴィックに勧める。
半信半疑なヴィックは重い腰を上げナッシュビルに向かう。

しかし、空港に到着したヴィックは困惑する。
待ち合わせ時間が過ぎても誰も迎えに来ない。
そんな矢先、目の前に現れたのはリムジンとは程遠い汚れた車が到着する。
車から出て来た若い女性は、これまた映画祭とは程遠い服装(レザージャケットにホットパンツいったパンクスタイル)だったため、ヴィックは余計に困惑を隠せない。
その若い女性はヴィックから見れば孫くらいの年齢だ。

若い女性の名前はリル(アリエル・ウインター)と名乗り、会場まで案内すると伝える。

しかし、辿り着いた先は掘建て小屋ほどの小さなバーだ。
中に入ると多くの若い世代がヴィックを迎えるも、映画祭というよりは学園祭に近い。
招待されたヴィックは渋々案内された席に座り映画祭が進行する。

かつてハリウッドスターとして周囲から特別扱いされ、贅沢をして来たヴィックはこの現状は馬鹿にされている様に感じる。
また遥々(はるばる)長距離から移動もあり、現状から逃げるかの様に酒を煽り悪酔いする。

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翌日、リルが車で向かいに来るが、ヴィックは身支度をし空港へ迎えと指示する。
リルは目の前にいる存在は面倒臭いおじさんでしかない。
その面倒臭いおじさんが言う通りリルはヴィックと共に空港へ向かう。

車は高速に入る。
空港へ向かう途中、ヴィックは高速から降りろとリルに指示する。
リルは呆れた表情を浮かべヴィックに従う。
向かった先はノックヒルという町だった。
この場所はヴィックが育った町でもある。

先ず向かった先は生まれ育った生家だ。
次に訪れた先は、最初に結婚した妻と出会った川沿いに着く。
この場所はヴィックにとってかけがえのない特別な所。
リルがその理由を訊くと、ここでプロポーズをし、動揺したせいで指輪を箱から出した時に水の中へ落としてしまう。
すぐにヴィックは水の中に飛び込み指輪を探したが、残念ながら見つからなかったのだと説明する。
そこでヴィックが出た行動は、海草を指輪に見立て改めて結婚を申し出た。
急な演出が最初の妻にはロマンチックに感じたのだろう。
ヴィックの申し出を受け入れる。
リルはこの話を聞きヴィックを見直す。

それから物語が進むにつれて、ヴィックは後悔の念に駆られる。
友人は年々亡くなり、取り残された心境が重みとなる。
そして何よりも、最初の妻への裏切り行為を深く後悔する。
因みに冒頭は衰弱した老犬と動物病院のシーンから始まる。
ヴィックが医者から呼ばれると、この犬は十分に生きた。
だからここでお別れが望ましいと安楽死を提案する。
こういった背景からヴィックは生と死について考えて、自身がどう受け止めるべきなのだろうと考えたのだろう。

で、ヴィックが行動に移した先は、最初の妻が入っている施設へと向かう…

もう一つ、この作品に欠かせない存在は娘の存在である。
そしてヴィックの娘は何処に…

さて、この先を述べるとまたもネタバレに繋がるので、この辺で…

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「はーい!お待たせしま〜した、はま・むら・じゅんです!」

劇中、CG加工によりバート・レイノルズと往年の本人との共演もまたにくい演出で必見だ!

きゃっ☆

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この作品はバート・レイノルズの遺作として意識したものではないが、ヴィックを通して改めてバート・レイノルズの抑えた演技がとても映える。
演技もさる事ながら、かつてのバート・レイノルズのイメージは、マッチョでタフで女にめっぽう弱い骨太なキャラクターが目に浮かぶ。
しかし、画面越しに映るヴィック(バート)の姿は足腰が弱く、人嫌いながらも繊細なハートの持ち主だ。

興味のある方は是非ご覧下さいませ〜♪

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