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ツバメかメダカか、はたまたバナナか。〜ブラックバーン・バッカニア

ブラックバーン社。

ブラック企業じゃないですよ。ちょっと前までイギリス🇬🇧にあったメーカー。なんのメーカーですか? ヒコーキでしょ!

ということで、ドーン💥 

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ブラックバーン・バッカニア。

名前の響きで、既にカッコいい。もちろん名前で選んでいるわけではありませんが、イギリス機って、結構、変な名前のがありますから。

モスキート(蚊)とか、ナット(ブヨ)とかね。

そこへ持ってきて、バッカニアという名前はかなりカッコいい部類。"海賊"ですもんね。戦闘機っぽいネーミングだ。

でもね、機体の特徴は、というと、

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"海賊"というよりは… ツバメか、メダカか、はたまたバナナか。

って感じ。もちろんディスってないです。すごくカッコいい機体。

まず、"ツバメ"っぽいところ

はすぐにわかっていただけるかと。お尻に注目ください。この、シュッとした状態からの↓

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これ↓ですから。ドーン💥というか、パカっ!

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さらに、パカっ💥↓

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この、パカっと割れて広がるお尻の形状。これ、エアブレーキといいまして、空を飛ぶ戦闘機は、こうやって空気抵抗を増やすことでブレーキをかけるわけです。 

お次は"メダカ"っぽい部分。

お腹のポッコリにご注目。↓ 

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子持ちメダカみたいでしょ! 

このポッコリは何かと言えば、爆弾倉の外側に取り付けた増槽(追加の燃料タンク)なんです。 

"爆弾倉"ってのがミソで、つまりこの機体、戦闘機ではなく、攻撃機です。つまり相手戦闘機を撃ち落とすというより、爆弾を積んで飛び、艦船や地上設備を攻撃します。
で、爆弾の搭載方法が独特なんです。胴体下部に"回転式"の爆弾倉ってのを装備してます。 

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↑胴体下部のちょうど真ん中に、長ーい長方形のスジが見えますね。これが爆弾倉のフタでして、なんとこのように↓ 

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グルリンパ!

と回転してガバっと開き、中に積んでいる爆弾を投下するワケです。 

なんで、回転式にしたか。

それは、この機体、レーダーに映らないよう、海面スレッスレを低空飛行して敵に近づくという思想で開発されましたから、こんな風にパカっと開くタイプだと、↓ 

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超低空では、開いたフタの部分で空気抵抗が発生して、物凄く気流が乱れてしまうため、回転式にしたんですね。 

そして、"バナナ"っぽいのは…

お気づきかもしれませんがこの機体、 

あちこち反ってます。

ほーら。↓

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↑背中のヒレから垂直尾翼にかけての反り。 

そして、ほーら。↓

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↑翼の前縁の反り。 

なんか、バナナっぽいでしょ。

主翼前縁の反りは、三日月翼といって、元々、狭い空母に載せる海軍機では、翼の設計に制限が出てきます(大きくできないとか、折り畳み機構がいるとか…)が、こういう形状にすることで、低空飛行でも、また低速飛行でも、良好な安定性を発揮したそうです。 

現場のパイロットも、機体の形状から

 "バナナ・ジェット"

と言ってたそうです。 

さらにこのヒコーキ、開発中はコードネームARNA(Another Royal Navy Aircraft)と呼ばれていて、ブラックバーンのARNAという語呂合わせでも"バナナ"と呼ばれていたそうです。 

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(でも、バナナを並べても、バッカニアには見えませんでした…)   

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爆弾投下!

なんちって。(この後、美味しくいただきました) 

最後に、"海賊"っぽい部分を。

海賊っぽいのは外観ではなく、この機体が背負った任務の内容です。
というのもこのヒコーキ、空母から出撃して、レーダーで発見されぬよう、 

海面スレッスレを超低空で

飛んでヒタヒタと敵に近寄り、爆弾で攻撃するとあう任務を帯びていますから。これまさに、 

海賊っぽい。

そして 

…ツバメと、メダカと、バナナ。

紐解いてみれば、それぞれの特徴が、 

海賊の、海賊たる任務の遂行に欠かせないモノだった

ってワケです。 

いやー、いきさつというか、物語に富んだ機体だわ。 

と、キレイにまとめたところで一つ余談を。 

ご紹介した模型、イギリスはコーギー社の1/72モデルなんですが、そんなにメジャーな機体じゃないので、国内では見つけられなかったんですね。 

そこで、ネットでもって在庫があるイギリスの模型屋さんを発見、辞書を引き引き、つたない英語メールでやりとりして送ってもらったワケなんですが、やっと到着してハコを開けて取り出してみると、なんと機首の給油プローブ(L字型のパイプ状のやつです。これで空中給油ができます)が付いてない! 

あちゃー。

これ、個人輸入にありがちな、不良品を送りつけられてしまったパターンかな…なんて思いつつ、しかし、細かい部品ですがコレ、結構この機体の特徴の一つだから、ナシでは悲しい。 

そこでまた、つたない英語でメール発信。入ってないよ!って。 

したら、「いや、給油プローブはこのヒコーキの特徴だから、送る前に、ちゃんと入ってるのを確認してから送ったぜ!」っていうニュアンスの返信が。 

この人も好っきゃなぁ。

(訳:この人もヒコーキが好きだなぁ) 

って思いつつ、くまなく探したら、箱のフタの裏っ側に、ビニールで包んでテープで貼り付けてくれてるのを発見。 

たとえて言えば、駅で買った焼肉丼弁当、新幹線で開けたら 

肉少ないやん!

って一瞬思ったけど、 

フタの裏におった

ってアレですな(違うか)。 

ということで、あの時は疑ぐったりして、 

すいやせんでした!

それでは、またー。

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