幽霊には足がない、これのイメージはじつのところ日本古来の絵師に発端がある。その画家の描いた幽霊に足がなかった。画家は、実力で国を跨ぐことができた。

ゆえに、足がない幽霊は実在する。

ある天才画家の掛け軸のなかに。

セイレーンもドラゴンもユニコーンも、ゴーストもいないかも知れない。
けれど、足のない幽霊は、それを思い描くたびに実在するのである。画家が幽霊を想像したときのように。皆は幽霊を同じく等しく想像する。

ゆえ、足のない幽霊だけは、実在証明のある怪奇であった。
日本人たちは特にこれを実在させる。

連綿と引き継ぎ、継続させて伝承する、起源も確かな親も確かなきちんとした生命体。

それってもう生き物なんだわな。
日本には幽霊が居る。

END.