性根がただ悪いだけ

魔女は哀れな生きものと相場が決まっている。地上でも深海でも浅瀬でも宇宙でも。ただ、魔女は悲劇の女なのかといえば、魔女裁判などで汚名をきせられた被害者たちにかぎる話だ。

ほんとうの魔女、本物の魔女というものは、同情に値する価値なき者たちの最果てのすがた。他者を陥れる、みずからの利益のために研究をして突き進んでいってチカラを手にした女たちである。

ときに、白き魔女と呼ばれる、善人の魔女とされる存在もあるが、その誕生の過程はずっと秘匿されるものだ。

必ず、かならず、闇に手を染めているからである。でなければ魔女なる方式を知ることができない。
魔力に触れること、感知すること、悪しき魔女を知るには自身もかつては悪しき道を知っていたからに他ならない。それぞれ個々人の過程を経て、たとえば愛する者の願いを叶えたはずが、愛する者は泡になって消えてしまった……などを経て、闇の道を捨てて正道に戻ってくる者が、白き魔女と言われて聖人のようになる。

それでも魔女なる女の本質はたったひとつ。ただただ、性根がわるい。性格がわるい。根に悪の心をもっている。

だから本当の聖職者など、たとえ人間のほんの十数年しか生きていない小娘でも、魔女なる者の本質を嗅ぎとっては忌み嫌うのだ。真に聖なる者は決して『魔女』なるものにならない。魔女の方式を知ろうとはしない。

だから、ただただ、性根が悪いだけの人間は、本質は非常に魔女たちに近い。チカラのない魔女予備群である。

だから、あなたたちも、本質的にそういうやつは嫌っていることだろう。
ただ、ただ、なぜだか嫌悪感を持つのだ。

その感覚は。
非常に、正しい!


END.

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