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過去を振り返ればJリーグ観戦者の女性比率が高いシーズンは2003年から2006年まで。なぜ38.5%の壁を破れないのか。

スタジアムに女子サポーター、女性ファンを増やそうという努力は続けられている。すでにサッカー=男性のものというイメージは払拭されている。プレミアリーグの1年間を追跡したAmazonプライムの番組「All or Nothing」にも多数の女性サポーターが登場する。

Jリーグではオフィシャルでもアンオフィシャルでもたくさんの取り組みが行われている。

では、実際の観戦者の女性比率はどうだろう。実は2010年以降は横ばいが続いている。多少の上下はあるものの、2007年から2009年の下落傾向を終えた後は38.5%の壁を越えることができていない。

Jリーグ スタジアム観戦者調査2017 サマリーレポートより

実はプロ野球も極端に女性比率が高いわけではない。

ではプロ野球の観戦者の女性比率はどうだろうか。観戦者調査は公開されていないため2014年に一部メディアで掲載されたファンクラブ会員の男女比率が参考数字となる。女性比率が40%を超えているのは、楽天、ソフトバンク45% 、日本ハム44%、広島42%の4チーム。近年のカープ女子は比率が高まっている可能性が高いが、他は概ねJリーグと大きな違いがないと推察される。

「プロレスオタク」を自認する消費者のうち女性は30.2%。

プロレスは空前のプ女子ブームといわれている。矢野経済研究所による2017年の調査によると、「プロレスオタク」を自認する消費者の男女比は男性:女性=69.8%:30.2%。女性の比率が2016年より7.2ポイント拡大した。

スポーツ観戦に興味がある女性は男性の57.8%でしかない。

株式会社マーシュが2015年4月に実施した「スポーツ観戦に関するアンケート調査」によると「スポーツ観戦に興味がある」男性は41.8%。女性は24.2%と大きな差がついている。それと比較すると、Jリーグの「男性よりも女性が23%少ない」というのは、「スポーツ観戦に興味がある男女比」や「サッカーのプレー人口の男女比」と比較すれば女性が多すぎるくらいであり、これでも実はかなり女性の比率は高いといえるのではないだろう。

おそらく「スポーツ観戦」を超えた何かが女性にスタジアムへ足を運ばせている。

Jリーグ観戦者の女性比率が更に高いシーズンは2003年から2006年まで。つまり、それは日韓ワールドカップフィーバーの効果だった。

確かに、トイレの数であったり写真スポットであったり、女性をスタジアムに呼び込むための努力は重要だ。だが、それだけでは、飛躍的に女性観戦者が増える訳ではなさそうだ。日韓ワールドカップの大フィーバーで始まり、ドイツでの日本代表の惨敗で終了したのがJリーグ観戦者の女性比率が高いシーズンだった。

女性が自分ごととして楽しめるJリーグクラブへ。

スポーツの魅力、サッカーの魅力を伝えるというより、自分がそこにいたい、いるべきだと感じることができるJリーグクラブになることが重要ではないか。日韓ワールドカップのような日本中が熱狂する大フィーバーが起きれば、誰もが行ってみたいと考えるだろう。でも、そのようなことは、そう簡単には起きない。

例えば「地域の一大事」と感じる存在になるか「毎週末にそこにいることが重要」「友達と時を過ごすことが楽しい」「家族と足を運ぶことが習慣」と感じる場所になるか・・・。

38.5%の壁を破るには、従来のサッカー興行の範囲からはみ出るくらいの発想が必要なのではないだろうか。


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