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「できる」の受け止め方は…

この記事1103文字です。


できる!

ってプラスのイメージが多いですよね。

松岡修造さんの画像付きだと本当にできる気がしてきます。

能力があるということですからね。

しかし必ずしもそれが

プラスに作用しないことがあるというのを、地域に出て知りました。


発達障害の利用者Aさんと関わっています。

Aさんの知識はとーっても幅広く、

政治、建築、歴史、音楽、美術、

医学、漫画、ドラマ…めちゃくちゃ詳しいです。

一度も行ったことのない土地や住宅のことも

あたかも見てきたかのように想像力豊かに語ります。

難しい言葉もよく知っていて、

老若男女誰とでも、どんな話でも、できるでしょう。


そう、この高い会話力こそが、

Aさんの困りごとを隠してしまうのです。

日常生活では本当はとても困っています。


知識や想像力がとても豊かで、

難しい専門用語も理解して話すので、

一見すると対応力はとても高いのです。

しかし、本人の脳内では情報を処理しきれず大パニック。

想像力が豊かなために

たくさんのことを想像しすぎてしまい、

苦しくなることが多かったと話します。


看護でも教育でも

「できる」というところに焦点を当てて

エンパワメントしていくというのは

割と一般的な考えでしょう。

しかし

Aさんにとって「できる」と言われることは

必ずしも自信のつくものではなかったようです。


就労していた頃は

障害者雇用の立場なのに「できる」と言われて

本人のキャパシティを越えて仕事を任されてしまったり、

「気を利かせろ」と言われたことがあったり。

「気を利かせ」る具体的方法は誰も教えてくれません。

障害者雇用の立場でなくたって「気を利かせ」るってかなりきついです。


精神障害者として助けを求めているのに

その場その場の対応はなんとかできてしまうことや、

見た目でわかるような障害はなかったために

「健常者と変わらない、甘えるな」と言われてしまうことがあり

障害を障害として扱ってもらえず苦しんだそうです。

発達障害の凹凸で陥る「はざま」の生きづらさを、何度も聞いています。


ここに自己効力感を見出せるような関わりや、

本人の困り感への理解者がいれば、

Aさんにとっての「できる」は

プラスイメージだったかもしれません。


一緒に銀行に行ったり、公的書類をさばく作業をしましたが、

そうした作業は本当に苦手なようで

困っているんだなというのが側で見ていて伝わりました。

そして、どこか怯えているようにも見えました。


困りごとはたぶんこれからもたくさんあるでしょう。

Aさんの知識や想像力がもっとAさんの望むように発揮されたらいい。

Aさんが心から望む「できる」を感じられるような

お手伝いができたらと思っています。


お読みくださりありがとうございました。

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