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今日も密かに繰り広げられる、職場の人間模様

役職だけでは測れない組織のキャパシティ

大きな組織であれば、部署に何人配置するかの枠が役職ごとに決まっている筈だ。一人一人の細かな能力差を考慮しようと思ったら膨大な計算量になるので、このような機械的なやり方をせざるを得ないのである。

とはいえ、当然ながら役職の中には質のバラツキがある。上位の役職が潤沢に見えても、実のところ能力的に水準を満たしていなかったり、体調面の不安を抱えてフルで力を発揮できなかったりする。

日本企業は同じ役職の人間を入れ替える形で異動を考えてゆくが、実際には戦力のアップダウンが毎年発生している。人が潤沢な状態であればいいが、戦力ダウンした時には適材適所をいつもより意識しなくてはいけない。

ここでいう適材適所の意味は「ある程度計算できる各自の得意分野に配置し、異分野への挑戦は控えめにする」ということだ。

新鮮さはなく、各自の成長幅は小さくなってしまうかもしれないが、耐えの年度にする。

ちなみに、前例のない新しいチャレンジは肉体的・精神的にもタフな仕事が要求されるので、体調面に不安のある人間に任せることは難しい。

心技体が揃っている人間は数も限られているので、必然的に戦力ダウンした時の負荷は特定の人に集中する。ここに上の人間の無理解が重なると、かなりキツい年度になる。

みんな職場内の色恋沙汰が好きだが、仕事的に重要なのはむしろその人の不得意分野の情報なのだ。従業員満足度が叫ばれるようになって、社員のモチベアップのため互いに褒め合う取り組みがもてはやされているようだが、もっとエグい話にも目を向けないと組織は回らない。

消えゆく喫煙者の集い

最近は喫煙場所がどんどんなくなっていって、タバコミュニケーションという文化はほぼ消えつつある。飲食店の看板で喫煙OKを掲げているお店があるが、それだけ喫煙可能なスペースが限られているということだ。

私はタバコは全く吸わないのだが、喫煙者が多い部署ではなんとなく輪に入りたくて喫煙所までノコノコとついて行った時期もある。喫煙所で重要な情報が交わされるのはなんでだろう、と思っていて、実際に覗いてみようと思ったのだ。

観察結果としては、酒と違ってタバコはうんちくを語ることがないから、自然と仕事の雑談になる、というものだった。酒であれば愛好家同士だと美味しい銘柄の話がどんどん展開されるが、タバコの種類についてあれこれ語る場面はあまり見ない。

コンビニでタバコを買う人たちも番号で銘柄指定をしている。どうやらタバコは一度決まった好みの品をひたすら消費してゆく種類の娯楽のようである。

それが丁度良い関係性を築いてくれるのだろう。タバコという存在自体が、経済的にも健康的にも合理性の範囲外なのもまた重要そうだ。

人が一番仲良くなるのは、生産性と無縁のことを一緒にやる時だからである。

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