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ポイント・クーポン経済を考える

ポイントカードやクーポン券は、スマートフォンの登場により、その普及が加速してきたように思う。

厳密には、ポイントカードはポイントアプリになり、クーポン券も同様に電子化されている。

無印良品やブックオフがこぞってポイントがたまりつつ、クーポンも配布されるアプリを出せば、Yahoo!のブラウザには、いつもマクドナルドや吉野家、フレッシュネスバーガーのクーポン券が並ぶ。

そんなご時世である。

その他にも、スーパーやドラッグストア、カフェにいくと、ポイントカードはお持ちでしょうか?あるいは、スタンプカードをお持ちでしょうか?と尋ねられ、いいえと答えるとお作りになられますか?と言われる。

カードをつくったり、アプリをダウンロードしたり、クーポンを使ったり、するのかいなかは、正直迷ってしまう。

カードはたまると財布がかさばるし、アプリは、無料でお得なのかもしれないが、その分スマートフォンの容量を食ってしまう。

それは当たり前なのだが、この記事を通じて書いておきたいことが他にある。

それは、カードやアプリ、クーポンの存在を意識することによって「我々の意思決定が縛られてしまう」ということである。

言わずもがな、これを企業側は狙っている。

同じものを買うのであっても、「ポイントがつく方」、「クーポン券が使える方」を「本当はその店にいく方がコスト高なのに」選んでしまうこともあるかもしれない。

私の経験からしても、自らの行動に伴うコストを広く捉えた上で意思決定している人はそこまで多くないように思う。

例をあげてみよう。

ガソリンスタンドの利用を考えても、あちこちに点在するガソリンスタンドの値段の「単位あたり1円や2円の差」にとらわれて、多少遠くても安いガソリンスタンドを選択してしまう場合などである。「そこまで行くのにかかる時間コスト」、「ガソリン代(電気自動車なら電気代)」、「労力(めんどくさいと思う気持ち)」を考慮せずに決めてしまっては、損してしまいかねない。

本来「コスト」というのは幅広いのにも関わらず、我々はそれらを「瞬時に的確に」把握できないことが多い。

賢い消費者は、この「コスト認識」の能力に長けていると私は常々思っている。

「感情的なコスト」は、人それぞれだが、「金銭的コスト」は目に見えている。そこだけでも、しっかり把握したいものである。

さて、ポイント・クーポン経済に話を戻そう。 

私は、「選択の幅、意思決定の幅」を狭められるのが嫌いである。というより、それは損なのではないかと思っている。

ポイントカードをつくり、所持したり、アプリをインストールしていたり、クーポンを利用できる状態であることによって、本当はラーメンが食べたいのに、ハンバーガーを食べたり、本当はエナジードリンクなんて飲みたくないのに、割引されるから買ってみたりすることは損だと思うのだ。

私たちの「本当のニーズとのズレ」が、企業側の利益となるのが、私の思う「ポイント・クーポン経済」の姿である。

当たり前といえば当たり前かもしれないが、このことを念頭に置くだけで、随分と「賢い」とまではいかなくとも、「主体的な選択・意思決定を行える消費者」になることができるのではないか。

クーポンが適用できる商品というのは、
「なぜそれが割引されているのか」
考えれば、それが(現時点で)人気のない商品であることがわかる。また、カードをつくるに当たって、やたらと手続きに手間がかかったり、個人情報を与えなければならないこともある。

選択肢を冷静に見つめ、コストを幅広く適切に評価する、認識する。そうした上で意思決定を行っていくことは極めて大切だと思うのだ。

ただ、ほとんど薬局はA店しか行かない、コンビニはセブンイレブンしか行かない、みたいな人は、その店のアプリやカードの利用をすることをオススメするが、よほどのこだわりや覚悟がないのであれば、基本的には、むやみやたらにアプリのダウンロードや、カードの作成・保持はやめた方が自由になれる。

付け加えていえば、アプリやポイントカード、スタンプカードもそうだが「使えば使うほどハマるシステム」に設計されている。

わかりやすいのが、スタンプカードで、私もよく利用していたハンバーグ屋さんの紙のスタンプカードは、「あと1つのスタンプで500円分の割引券」になる。ただ、そこまでスタンプを貯めておきながら(貯まったともいえる)私は「あと1つのスタンプに踊らされてたまるか」と思ってしまう。

つまり「スタンプがいっぱいになるから行こう」という意思決定に躊躇いを覚えるのだ。ただし、1000円のランチが500円になるのであれば、他の選択肢より魅力的になる場合がある。上記のケースでは、私はあと1つのスタンプでカードがコンプリートし、500円の割引券になるのは、「次の食事の後」である。 

上の私の躊躇いをもう少し敷衍すると、1000円そこそこのランチやディナーをそのハンバーグ屋さんで「スタンプカード貯まるから」という飴に多少なりとも意思決定を規定されつつも、さらに「その次の500円そこそこの、ハンバーグ屋さんでの出費」を躊躇っているということになるのだ。ざっと1500円を、店側の「スタンプカード作戦」によって出費してなるものか!と私の心は思っているということである。

まぁ、考えてみれば
「今の私は」
「そこまでそのハンバーグ屋さんが好きではない」
ということだろう。なんだかんだで、スタンプカードが満タン直前であるというのは、そういうことだ。おそらく「結果的に貯まった」にすぎないのだ。蛇足かもしれないが付け加えると、もちろんコロナ禍が、この事例における意思決定に影響していることはいうまでもない。

私が本稿を通じて言語化しておきたかったことは、

「消費者として考えて意思決定すること」

の大切さである。誤解のないように述べておくが、本稿は大衆を啓蒙するというような上から目線を下地に書いたものではない。
あくまで、言語化する意味があると思い、私がこれまでの思索と問題意識を纏めたものである。

ここまでお読み頂いた方に感謝を申し上げたい。







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