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村上龍、ひとつのマイルストーン

JOKERという、メンズファッション雑誌がある。わたしはこの雑誌に連載されていた村上龍のエッセイをずっと立ち読みで(ごめんなさい)フォローしてきた。ところが、今日、たまたま立ち寄った書店でJokerを見つけて、そのエッセイをチェックしたところ、なんと「今月で連載終了」だということを知った。

少なくともここ7, 8年は、この雑誌に連載されていた村上龍のエッセイ「全ての男は消耗品である」。実は掲載雑誌を変えながら、二十年以上にわたって書き続けられている。文庫だと十数巻におよぶボリュームだ。

義務教育とかサラリーマンといったマジョリティから距離をおいた視座から、社会や時事ネタをクリティカルに論じる、エネルギッシュかつオシャレなエッセイだったが、近年は、氏の加齢に伴ってかその文体には洗練と諦観の要素が強まり、JOKERのような若者向けのファッション雑誌にあることが不思議にも思える連載となっていた。

『半島を出よ』という小説に衝撃を受けてから、あれほど熱心に彼の小説やエッセイを読み漁っていたわたしも、最近では意識することも少なくなっていた。彼のエッセイをたまに書店でチェックしていたのも、昔を懐かしむような気持ちからだった。もしかするとまた別の雑誌で、彼のエッセイは続くのかもしれないが、JOKERの連載終了は、私の中でのひとつのマイルストーンのような気がしている。

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