見出し画像

リフレーミングと甲子園

リフレーミングというのは、一見してネガティブに見える事象を、敢えてポジティブな側面から捉え直す(リフレーミング)ことである。「ピンチはチャンスなんだ」と自分に言い聞かせるとか、太っていることを気にしている女性に「いまはぽっちゃりのほうがモテるよ」と褒めるとか、そんなちょっとした心理スキルである。

だから、このスキルは、ある意味で概念的である。たとえば「ピンチはチャンスだ」というフレーズを例にとると、「その人が置かれている状況が本当にピンチなのかどうか」、というようなことは、問題にならない。その人が「いま自分はピンチだ!」と意味づけをしたからこそ、「でもピンチはチャンスでもあるよ」という意味づけの更新作業が可能なのだ。後から振り返って「やっぱりそうだ、あの時のピンチはチャンスだったんだ!」とその人が叫んだとしても、それはその人の中で自己解決している事象であって、他の人たちと簡単に共有できるような価値観ではない。

ところが、甲子園で繰り広げられる熱戦では、「ピンチがチャンスに変わる」ようなシーンが実際に起きてしまう。本来なら心の中で完結しているような価値観が、ビジュアル化され共有されるのだ。さらにそれは、メディアを通じていたるところにブロードキャストされる。みんなが甲子園のドラマに感動するのは、こうしたレアな価値観の共有体験ができるからなのかもしれない。まさに甲子園は祝祭的イベントだと思う。要するに、あれは大掛かりな舞台装置を使った壮大なお祭りなので、一部で話題になったように、大阪ドームに舞台をうつしてしまったら、もうそれは甲子園というお祭りではなくて別のお祭りになるだろう。それはそれで面白いけれど。(了)

最後まで読んでいただきありがとうございます!投げ銭いただけたらうれしいです :)

ここから先は

0字

¥ 100

こんにちは。youtubeチャンネルもよろしくお願いします-> https://www.youtube.com/channel/UCTBquTnV-WrAw5hqrRlJVBA