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【小説】のようなもの

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【小説】のようなもの。
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猫と愛してるのあ 第8話

 静かな日曜日だった。遅く起きて二人でブランチに出かけた。例のギンガムチェックのテーブル…

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猫と愛してるのあ 第7話

   ⒗  梅園町の菅野邸には相変わらず額に〆印のトラ猫がいた。訪れると床の間の猫ベッド…

猫と愛してるのあ 第6話

   ⒔  本城駅前で及川さんと待ち合わせて、梅園町に行くバスに乗った。あぐりは毎度赤ワ…

猫と愛してるのあ 第5話

 忌引きの間に中古のホンダは廃車にした。助手席のドアがべこりと凹んだところに、見たくもな…

猫と愛してるのあ 第4話

  8  何やら風が冷たいと気がついたのは本城三叉路に来てからだった。濡れたあぐりの服は…

猫と愛してるのあ 第3話

 休憩室でゆっくりする暇もないが、それは江口主任の顔を見なくて済むから逆にいい。会社に戻…

猫と愛してるのあ 第2話

   3  あぐりは退院後も二日間寝込んで仕事を休んだ。その間、婆ちゃんはにわかに正気に戻り、やれお粥だ葛根湯だと二階に来てはまめまめしく介護してくれた。  お陰で叔母ちゃんは休むことなくシフト通りに仕事に行った。365日二十四時間営業しているコールセンターでパート勤務をしているのだ。 「あっちゃんずっと病気でいれば? お婆ちゃんが元気になるから」  などと無茶を言う。とはいえ面倒を見る人が現れれば、面倒を見られる人ではなくなる。真理かも知れない。  あの午後、あぐりが参加

猫と愛してるのあ 第1話

   1  柿の木で蝉が一匹鳴いている。夏もじき終わる。  国分寺町は旧街道を一本入った…

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