タイヨウをタイヨーとは呼びたくない。
おはようをおはよーとは言いたくない。
ワタシは魚になりたくない。
二重にも三重にもして救いたいのだけれど大きな網目。手のひらいっぱいに水をすくう。指の隙間からこぼれ落ちる水へ果物ナイフを隠し持って今すぐに飛んでいきたい。感電注意の空間では物音は立てられない。
魚は水の中を土の中をアスファルトを進む。
進む手段は使い捨て止まる手段はお守り。
森林はCDジャケットそのまま、なんの儀式もなく祈る。砂の重みが背中を温める。本日よりどの穴から見えているか分からない状態でお送りします、宣言して撤回する生活を繰り広げる。煮る、焼く、手段は必要だがひけらかすまい。常に塩と砂糖を抱えること。幾つかの手段と調味料を持つこと、最後の自由とする。

不完全なモノを愛する人間は同種である。あの子とカノジョはどこか似ていて、不完全なモノの見かけの完全さを愛している。アイツとボクは同種、不完全なモノの不完全さを愛している。幼い頃に読んだ絵本の記憶は今も濃く。