ゴーヤ （GOYA）


ウリ目、ウリ科、ニガウリ属の植物。


実家に帰ったら茄子だけでなく、苦瓜も沢山
食べる事になる。苦瓜の名称よりもゴーヤの
方がメジャーな呼び名かも知れない。のだが
正式名称は蔓茘枝 （ツルレイシ）である。
農業用語ではこの名称を使い、正式名称では
苦瓜 （ニガウリ）と呼ぶ。洋名ビターメロン
も同じ名のつき方である。

この馴染みのあるゴーヤという呼び名は沖縄
でのこの野菜の名称であって沖縄料理が広く
日本全国で食べられるまでは殆ど知られては
いない野菜であった。


その過去には、沖縄農家による多大なる努力
があっての事を知らない人も多い筈である。
それまでは、このゴーヤにはとある理由から
県外への流通を禁止されていたからである。


その理由とは「ウリミバエ」という寄生虫の
存在である。この寄生虫は沖縄にしか存在を
していない寄生虫であって、同じウリ科属に
あたる農産物類への被害を封じ込める為にと
水際対策、つまり、一切のゴーヤの本土流通
を全面禁止措置がなされていた為なのである。
この措置自体は正しい判断だったと私も思う。

ウリ科の野菜や果実は非常に種類が多い。
胡瓜 （キュウリ）
南瓜 （カボチャ）
西瓜 （スイカ）
馬龍 （メロン）
白瓜 （シロウリ）
冬瓜 （トウガン）
蔓無南瓜 （ズッキーニ）
とこれら成果物被害を見逃す訳にはいかぬ。
これもごもっともである。


だが、沖縄に観光旅行に来た他県の者たちは
旅先の郷土料理として、ゴーヤチャンプルを
食べると、その苦い味が旨いな、となる。


ゴーヤの中の「リノレン酸」という成分には
脂肪燃焼効果が期待できるものであると同時
にビタミンCも豊富に含まれていることから
免疫力を高めるとも言われている。苦味成分
とされる「チャランチン」「モモルデシン」
は血糖値の低下効果があると言われている為
急激な血糖値の上昇を抑えることが可能。


要約すると、免疫力アップとダイエット効果
が見込める野菜だと言う事である。


沖縄が誇るこの素晴らしい野菜を何とか本土
へと輸出させたい。ここから沖縄はウリ科に
有害である寄生虫であるウリミバエ絶滅作戦
を敢行する。農薬などに頼らないでこの害虫
そのものを駆逐絶滅、根絶やしにさせる為に
とったその作戦とは！


『不妊虫放飼法』


一般的に自然界の中で虫のオスとメスとでは
交尾が行われて、次の命へと繋がっていく。
この不妊放飼法は、このウリミバエを人工的
に増殖させてそれに不妊処置を行ってやる。
そして生殖機能を有さない、無生殖の成虫を
自然界に放ってやる。虫同士は交尾を行うも
処置がなされている為に個体数はどんどんと
減少をしていく。この無生殖成虫を野に放ち
続ける事で、このウリミバエを絶滅させる事
に、沖縄農家は農林水産省との協力のもとで
やり遂げ、達成したのだ。


ひとつの害虫を、この世の中から絶滅させて
ゴーヤは本土流通の認可を正式に国が認めて
我々が普通にゴーヤチャンプルを美味いね〜、
と楽しめる。我が実家にポコポコとゴーヤの
実が成るのも、その当時の人達の大変な労力
と努力のお陰なのである。


私はこの世に生まれた命は、意味がないもの
は存在せずと何度かブログ内に書いているが
作物被害への原因となり得る害虫に関しては
例外もありと見なさざるを得ないなと最近は
感じている。カミキリムシも可愛いと書いて
いるものの、その外来種の日本上陸によって
樹木をどんどんダメにする虫もいるのである。
日本の在来種を絶滅に追いやる外来危険生物
も少なくはない。


ゴーヤの花言葉は『強壮』である。
このゴツゴツとした実の中には、食物繊維も
豊富でありこの中に含まれるビタミンＣとは
他と違って、炒めても壊れにくいビタミンＣ
なのである。疲労回復や美容健康にも良いと
されるゴーヤはスーパーフードでもあるのだ。


ウリミバエの写真はネットでお借りした。


さてさて、そんな素敵な話をした後なのだが
ショッキングな映像をお見せする事になる。

まるでホラー映画並みの写真となる。
ううむ、そうか、ゴーヤって放置しとくと
こんなになってしまうものなのだと知った。
しかし、この破裂してしまった姿の凄い事、
モンスターが内部破裂して死んでいるのかと
思ったわい。


だが、驚くなかれ、この状態になるのを待ち
食べるのが本当のゴーヤの食べ方と言われる
ものであり、生食で食べるとフルーツに匹敵
する甘さが売りなのだそうだ。赤く熟した種
にはゼリー質のもので覆われておりゴーヤに
特有のシャキシャキ感は損なわれているが、
これを食べると忘れられないものになるのだ
そうである。ゴーヤを育てられている方々は
騙されたと思ってトライアルして欲しい。

和名　苦瓜 （ニガウリ）
　　　蔓茘枝  （ツルレイシ）
　　　ゴーヤ （GOYA）
洋名　ビター メロン （BITTER MELON）
学名　モモルディカ チャランティア
　　　（MOMORDICA CHARANTIA）
分類　ウリ目、ウリ科、ニガウリ属
種類　一年生植物
草丈　２〜３ｍ
開花　夏〜秋
花色　黄
花径　３〜７ｃｍ
原産　インド、ボルネオ諸島
渡来　慶長時代、１６００年頃
言葉　強壮
撮影　豊島公園