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キュンとする恋物語①マイアーヘルスター『アルト・ハイデルベルク』

このタイトルを目にして、「ああ、あれか」とわかる方はたぶんあまり若くないと思われる。私がこの物語の存在を知ったのは、子どものころ、当時国民的アイドルだった天地真理の冠番組『飛び出せ!真理ちゃん』で天地真理が芝居をしていたのを見た。その後中学生の時、角川文庫で小説版を読んで…刺さった(笑)小学校高学年から高校生くらいの時期は、きゅんとする恋物語に嵌まるのである。

60年代70年代、ドイツ語を習う学生さんにとっては1つの教科書、そして高校の演劇部においては『ロミオとジュリエット』に次いで演じられる頻度が高い演目であったようだ。当時の高校生はうぶだから芝居の中で恋愛体験をしたんじゃないだろうか?

今ではすっかり忘れられてしまい、書店で見かけることもなく、運よく古本屋で見つかればしめたもの、おそらくkindleじゃないと読めない。私も以前小説版と戯曲版どちらも持っていたが、いつの間にか処分してしまい、今回は復刻版の番匠谷英一訳、響淋社文庫(Kindle)で読み直してみた。

ストーリーはいたってシンプル、架空の国の公子(以前読んだ本では皇太子になっていたと思う)カール・ハインリヒがハイデルベルグ大学に1年遊学することになった。宮殿の中の生活しか知らなかったカール・ハインツは新しい環境にわくわくし、学生たちとの交流や宿屋の娘ケーティーとの身分違いの恋を満喫する。しかし、大公の体調が悪くなり予定よりも早く帰れなければならなくなった。

身分違いの恋、ケーティーとカール・ハインツ、どちらも親を亡くした子どもの不遇、宮中の過ごし難さ、特権階級の孤独…といずれも特に目新しいものではなく本国ドイツでも忘れ去られてしまったのも頷けるとも言える。ただ、私のように思春期にこの作品に触れたものには、やはり何かしら郷愁のようなものを感じずにはいられない。

ハイデルベルクの学生気分を味わえるように↑YouTube貼っておきました。
よろしかったらどうぞ。本もとっても短いので図書館か古本屋で見かけたら立ち読みでもしてみてください。



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