手さぐり

私が通う大学には、4月にちょっと狂った催しがある。曰く、新入生を集め、1ヶ月間で論文を書かせるというものだ。一回生たちはグループに分かれ、リーダーと呼ばれる指導者のもとでテーマごとに論文を書く。テーマの内容は多岐にわたる。リーダー(2回生以上)が興味のあるテーマを事前にある程度リサーチし、読むべき本や論文を収集して一回生とともに探求していく。

私は今年そのリーダーをやってみようと思っている。一つには一回生に本を読むことの素晴らしさを知ってもらいたいという気持ちがないことはないのだが、それ以上に探求したいテーマがあるというのが正直な動機だ。私は普段、民俗学に近いようなテーマで論文を書いているのだが、今回どうしても文学研究で論文を書きたいと思った。


文学は、おもしろい。作者が、その時代の中で考えたことを「物語」という形で執筆する。これまでの文学の系譜を踏まえ、それを超克する試みを日々さまざまな作家が行なっているという点では、研究とあまり変わらない。

作家が紡いだ物語を分析する行為は非常に興味深い。いわば、アカデミックな文脈において、読書をしていくのである。作者のインタビューやエッセイ、そして作品そのものを読むうちに「あるいは当時こんなことを思って執筆したのではあるまいか」という仮説が浮かんでくる。それを論文という形で発表するという一連のプロセスで学ぶことも多い。

まだ見ぬ受講生たちと、論文を完成させる日を楽しみに、今は情報収集をしようと思う。


今の所読んでもらおうと思っている本


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