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「すべてのこと」には歴史がある

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・基本コンセプトは、「歴史的に考えることは、イマ・ココから一歩離れて、視野を広げるきっかけになる」です! ・毎月24日に更新します! ・日常的なモノ・コト・コトバ・ギモン(ミクロ… もっと読む
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記事一覧

【歴史その6】「困った人々を助けたい」にも歴史がある

悲しいニュースを目にしたとき  最近は、ウクライナ戦争やパレスチナ情勢などで、破壊された建物や肉親を失って悲しむ市民の映像を見る機会が増えてきました。日本という安全な場所にいることをありがいと思う一方で、たまたまその地域に生まれたという理由だけで苦しみを味わう人々に何かができないかとも思います。  戦争だけでなく、飢餓や貧困など苦しんでいる人々が、世界には溢れています。  そんな人々を助けたいと思い、NGOなどで働いている人々もいます。そこまでできずとも、募金など何らか

【歴史その5】「境界を生きた女たち」にも歴史がある

ジェンダーバイアスにご注意!  前回の記事では、記録を残さなかった「男」の歴史を取り上げました。今回は、境界を生きた「女」たちにフォーカスしてみたいと思います。    ところで、これまでの記事に登場した人物たちは、ハーヴィー、セネカ、ダーウィン、シュヴァルツ、ピナゴと全員が驚くことに男性です。    もちろん、著者に、女性は歴史上あまり重要ではなかったというような考えがあるわけではありません。しかし、なんとなく興味の赴くままに歴史を取り上げてきた結果としてこの偏りです。  

【歴史その4】「記録を残さなかった男」にも歴史がある

歴史に名を残すには  アメリカ合衆国の100ドル紙幣に肖像画が描かれているベンジャミン・フランクリンには、次のような名言があります。「亡くなり朽ちてすぐに忘れられないようするには、読むに値するものを書くか、書くに値することを行いなさい(If you would not be forgotten as soon as you are dead and rotten, either write things worth reading, or do things worth t

【歴史その3】「朝、目覚まし時計で起きる」にも歴史がある

一日の始まりは  一日の始まりに行うことは何ですか?  多くの人にとって、それは目覚ましアラームを止めることだと思います。  私も、毎朝6時にスマートフォンのアラームをセットしています。そして、何度かスヌーズ機能を経た後、ムクっとベッドから起き上がります。  この何気ない行為とともに一日が始まるわけですが、もちろんこの出来事にも歴史性があります。個人的なレベルでも、子供の頃は文字通り時計のアラームで起きていたのですが、今ではスマートフォンのアラームになっています。

【歴史その2】「カンカンに怒る」にも歴史がある

「怒りという感情」=個人的で本能的なもの?  生きていれば、一度は「カンカンに怒った」ことがあると思います。「仏の顔も三度まで」という言葉があるくらいですから、仏様だって我慢の限界を越えれば怒ります。私たち人間では、理不尽な振る舞いや裏切りなど理由は様々ですが、堪えきれない怒りという感情が身体から湧いてくることがあります。  怒っている時は、冷静に我が身を見つめることはできませんが、一見すると、この「怒りという感情」は、とても個人的なもののように感じます。同時に、怒りは、

【歴史その1】「学校で歴史を学ぶ」にも歴史がある

歴史がないものがこの世界にあるだろうか(いや、ない!)  歴史と聞くと、何を思い浮かべますか?  王様や将軍、戦争、革命、大恐慌、封建制などなど。「過去の偉人や重要な出来事の集まり」で自分には関係ないことと思いがちです。  しかし、歴史を「これまでの経緯や引き継がれてきたこと」と緩やかに定義してみるとどうでしょう。自分にも歴史はありますし、自分の親など家族の歴史もあります。今日向かう会社やこれまで通った学校にも歴史はあります。  そう考えると、歴史のないものはありませ

【歴史その0】歴史学にちょっと興味が湧いてきたら

ジョン・アーノルド(2003)『歴史』新広記訳、岩波書店  歴史学への格好の入門書。中世フランスで起きた、とある殺人事件を、どのように歴史的に位置づけるかという問いに始まり、歴史叙述の歴史や史料との向き合い方などを具体的に分かりやすく伝えてくれます。また、すべての歴史は暫定的であり、歴史学はさまざまな疑問に基づくプロセスで、何よりも議論であることを教えてくれます。 リン・ハント(2019)『なぜ歴史を学ぶのか』長谷川貴彦訳、岩波書店  フェイクニュースや歴史修正主義が横