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月刊 俳句ゑひ 卯月号〈増刊号・言葉の解説〉

ゑひ[酔]のホームページ及びnoteで発表した、月刊俳句ゑひ 卯月号の俳句の言葉解説記事です。各作品に分けて順に説明していきます。

『うつら』(作:上原温泉)の言葉

くちばし

そのまま鳥のくちばしのこと。常用漢字ではないので説明をつけていますが、特に想像は難しくないでしょう。

似合はにあわぬ 〈旧仮名遣い〉

上原・若洲とも旧仮名遣いを使って俳句を作っています。この表記でふりがなの通り読み、現代語と同様に「似合わない」と解釈して構いません。

はるゆめ 〈季語〉

別コーナー「ゑひの歳時記」で取り上げます。詳しくご紹介しますので、是非そちらをお読みください。

種袋たねぶくろ 〈季語〉

種袋(イメージ)

春にまく植物の種が入っている袋のこと。農家はかつて、収穫のときに翌年のための種を残し、それを袋に詰めて保管したそうです。花・穀物の種類によって思い浮かべるものが変わります。

かいな

「うで」と書いて「かいな」と読む場合があります。俳句では、必要な文字数を合わせて、同じものにある違う読み方を使うことがよくあります。

使つかひをいおり 〈旧仮名遣い〉

上原・若洲とも旧仮名遣いを使って俳句を作っています。この表記でふりがなの通り読み、現代語と同様に「使っている」と解釈して構いません。

春田はるた 〈季語〉

春の田んぼ。そのままの意味ですが、季語としては、まだ苗を植えていない頃の田んぼのことを特に指します。水分を含んだ土がぼこぼことしていたり、花が咲いていたり、水が溜まっていたりする様子が思い浮かびます。

大蒜にんにく 〈季語〉

漢字で書かれるとわかりにくいですが、野菜・香草のニンニクのことです。仲春(春の半ばごろ)の季語になっています。小さい頃に「野蒜のびる」を掘り返した記憶のある方もいるのでは。句の中に出てくる「大蒜先輩」は、作者の造語です。どんな人格、あるいはものが思い浮かびますか?

ふらここ 〈季語〉

ふらここ

遊具のブランコのことを「ふらここ」ということがあります。「ブランコ」というより柔らかい印象がしますね。ところでブランコは、実は春の季語なんです。

よこて 〈旧仮名遣い〉

上原・若洲とも旧仮名遣いを使って俳句を作っています。この表記でふりがなの通り読み、現代語と同様に「横倒しにして」と解釈して構いません。

なみだうつわ

作者の造語です。涙を入れている器……眼球や目のことをたとえた言い方だというふうに捉える方も、涙壺のような物理的なものをイメージする方もいらっしゃるでしょう。まずはお好きな方で読んでみてください。

花人はなびと 〈季語〉

通常は、桜を愛でている花見の人のこと。より広い意味で、桜のあたりにいる人全般を指すこともあります。花見をしている親しい人を思い浮かべながら句を読むのがおすすめです。

突つ込つっこみ 〈旧仮名遣い〉

上原・若洲とも旧仮名遣いを使って俳句を作っています。この表記でふりがなの通り読み、現代語と同様に「突っ込んで」と解釈して構いません。旧仮名遣いでは小さい文字は使いません。

独活うど 〈季語〉

独活(うど)

食用にもなる植物のウドです。ウドの大木という慣用句がありますが、春にその若芽が旬になるため、季語として扱われます。「独活」という表記の由来には定説がないようですが、木ではなく草であるのに、成長した時の大きさを言い表したと考えられるかもしれません。

春陰しゅんいん 〈季語〉

曇りがちな春の天候のこと。漢詩に由来する季語です。このブログを書いている今日も、ぼんやりとした曇り空です。

桜蘂降さくらしべふる 〈季語〉

別コーナー「ゑひの歳時記」で取り上げます。詳しくご紹介しますので、是非そちらをお読みください。

う 〈旧仮名遣い〉

上原・若洲とも旧仮名遣いを使って俳句を作っています。この表記でふりがなの通り読み、現代語と同様に解釈して構いません。

『無題1』(作:若洲至)の言葉

らざるや 〈旧仮名遣い〉

上原・若洲とも旧仮名遣いを使って俳句を作っています。この表記でふりがなの通り読みますが、「知らないのですか」と解釈すると良いでしょう。

鶯餅うぐいすもち 〈季語〉

鶯餅

鳥のウグイスの形や色に似た餅。生地のよもぎ色やまぶしてあるきな粉が特徴。桜餅などに比べると地味な印象ですが、スーパーに並ぶこともありますね。

ムスカリ 〈季語〉

ムスカリ

写真参照。園芸品種もある植物の名前です。尖った形状と花の鮮やかな青紫が特徴的な花を咲かせます。

非道ひど

辞書的には程度がはなはだしいこと。一般的にはひらがなか「酷い」と書くことが多いですが、この字を使っていると、どんな印象になるでしょうか?

はな 〈季語〉

俳句では特に、春の盛りの桜のことを指します。一般的な使い方と違うので注意が必要です。上で説明した「花人」も、桜のこととして記述しています。桜以外の花のことを言いたいときは、植物の名前を明示するか、「青い花」など修飾して抽象化することが多いですね。

うなずけば

漢字の読み方が難しいですが、現代語そのままです。意味はわかりやすいでしょう。

四月馬鹿しがつばか 〈季語〉

4月1日、エイプリルフールのこと。そのままでは長い単語なので、季語としては「四月馬鹿」ということが多いです。"Fool" は英語で「バカ」という意味で、まさに直訳なのですが、日本語にすると直接的な印象ですね……

春眠しゅんみん 〈季語〉

「春眠暁を覚えず」で始まる、孟浩然もうこうねん作の有名な漢詩に由来しています。一年中眠い中でも春の時期は特に眠たい気分がしますが、それは昔も今も変わらないようです。

ロードローラー

ロードローラー

写真参照。道路工事などに使う車両のような機械です。夜中に道路工事を見ているとまれに稼働しているところに遭遇します。法律上は「締固しめがため用機械」というそうです。個人的にはプロレス技みたいだと思いました。

春驟雨はるしゅうう 〈季語〉

春に降るやや強いにわか雨のこと。「驟雨」には気象用語としての厳密な意味があるようですが、俳句の世界には細かい定義はありません。どちらかといえば、「驟」の字の持つすみやかという意味と、「シュウ」という音の響きが、俳人に選ばれている印象です。

踏青とうせい 〈季語〉

もともとは、旧暦の3月3日(新暦の4月3日ごろ)に野原に出て、新たに萌え出た草の上を歩く風習のことを指していました。これは中国由来の習俗でしたが、季語としては意味が広がり、その日に限らず春の野山に出て散策することを意味しています。

終へおえて 〈旧仮名遣い〉

上原・若洲とも旧仮名遣いを使って俳句を作っています。この表記でふりがなの通り読み、現代語と同様に「終えて」と解釈して構いません。

たる 〈旧仮名遣い〉

上原・若洲とも旧仮名遣いを使って俳句を作っています。この表記でふりがなの通り読み、現代語と同様に「見ている」と解釈して構いません。

飛沫しぶ

ここ3年くらいで飛沫(名詞)を「ひまつ」と読む人が大幅に増加したと思いますが、「しぶき」とも読みます。しぶきが上がることを「しぶく」と言いますが、「飛沫く」と書いて「しぶく」とはあまり読まないかもしれません。つまり当て字です。

関連リンク

月刊俳句ゑひ 卯月(4月)号

ホームページでは作品が縦書きで読めます!

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