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『シャイロックの子どもたち』読書感想


映画化記念
『シャイロックの子どもたち』
池井戸潤 著



私は池井戸潤作品が好きで、
一時期色々と読んでいました。

こちらは未読でしたが、
映画化されるということで
先に読んでみました。


audibleで読み放題にありましたので、
通勤時間などを活用して読みました。(聞きました)




やっぱり池井戸潤作品は
面白いですね。

臨場感、リアル感があり、
本当にそういう人が目の前にいて、
そこで働いているかのように思ってしまいます。

池井戸さんが、元大手の銀行員、
ということで、

本当にそういう体験が合ったのかなあ、
実際問題、銀行内部ではこういうことあるのかなあ、
と考えさせられてしまいますね。
(もちろん、作品はフィクションですが)


映画やドラマも面白いですが、
個人的には小説版も好きですね。
(ちなみに、本作のドラマ版もあるそうですが、私は未視聴)

さて、今回の記事は
『シャイロックの子どもたち』
を読んだ感想文です。


ネタバレや内容など知りたくない方は
この記事を見ないほうがいいです。




シャイロックの子どもたち




内容は、
と言うと、

銀行を巡る人々の悲喜こもごも。
というものです。


登場人物一人一人に焦点を当てて、
心情や状況、置かれている立場
などを深掘りして書かれています。


一つの章で、
一人の人を主人公として、
その人とその周りを描かれています。


なので、

結末や終着点に向けて
一つのストーリーを展開する、

という形ではなかったですね。

ドラマや映画では、主要な部分に要点を絞って
必要なストーリーだけを
取り上げていくのでしょう。

その分、小説では、
その人の背景、状況、
取り巻く人々の感情、
などが深く掘り下げられているので、

様々な視点から物語を
見ることができますね。



個人的には

半沢直樹シリーズなどドラマや映画ですと、
エンターテイメントに振り切り過ぎてしまって、
ちょっと私には物足りません。


小説ですと、
もっと人物たち一人一人の
物語が描かれていた、

心情や置かれている状況などをもっと深く
掘り下げられるので、

より人物や立場など、
感情にふれることができて、
より考えさせられますね。


社会の問題点、
働く上でのストレス、障害、
会社や仕事の悩みや人間模様など、

とてもリアルですし、
共感したり、ハラハラしたりします。


社会人は共感できる



もしも、私が学生でしたら、
ここまで池井戸潤作品を見ようとは思わないでしょう。

社会人であれば、
働く上での悩みや苦悶など、
立場や状況は違えども、

似たようなケースやトラブルなどに
ぶつかった事がある人が多いので、
共感ポイントも多いでしょう。



そして、

半沢直樹シリーズなどが、
どのどんとエンターテイメントに
振り切って言ったのは、

上記の点から言って、
幅広い視聴者層を獲得するという意味では
正解でしょうね。


あまり人間関係や仕事のごたごた
ばかりのやり取りに重点を置かれてしまうと、
置いてけぼりになる人も多いからです。

(反対に、刺さる人には深く刺さるでしょうが)


行員も辛いよ




読んでみて、
率直に思った感想は、


銀行員もなかなか大変ですね~

というもの(笑)


私の知人で、
新卒で地方銀行に入社した人がいました。

地方だと地元の地銀は比較的に花形就職先ですが、
もう今は辞めてしまったそうです。

社畜生活は嫌だ。
的なことをぼやいていたのを思い出しました。
(苦笑)


例えば、

融資や投資などを
取り付けてきて、
業績を挙げないといけないが、

景気の悪化により、
担当地区の企業などは利益がでていなかったり、
大きな負債を抱えていたりで取り付けにくい。

しかし、会社のノルマや目標額は
どんどんと景気知らずに上げられている。

融資の話がでてきたが、
相手の会社は負債が多く、不安要素が多いが、
目標を取るために引き受けてしまった。
そうしたらそこが、粉飾決算をしていて…

などなど


最近販売している投資信託は
元本割れしている、
なんでこんなもの売らなければいけないんだ、


他社と似たような商品、
それでどうやって勧めろというんだよ……

などなど悩む現場。

 
そこに上司は、

会社からの目標だから、やるに決まってるだろ!
お前も出世したいんだろ。みんなそうやってきたんだ!


上司、管理職側も、
支店の業績や成績によって、
今後のキャリアアップが決まる。

本社、本部、海外事業部、
など、自分が行きたいところへ出世できるのか?

今この職場にかかっている。
できなければ給料も上がらない。
出世コースからは外され、
この会社での未来はない。

なので、

責任を部下に押し付ける上司。
できなければ激しく叱責したり、
嫌味を言ったり。罵倒し、
ケツを叩いて業績を出させる。

上司に楯突く、疑問をもってきたら、
権力や出世をちらつかせて言うことを聞かせる。
有無を言わせない。

責任を問われれば、
どうやって逃れるのか考える。


どうしても、

上記のような
過剰な成果主義に走ってしまうと、
視野が狭くなってしまう。

短期的で、
目先のことにとらわれてしまう。

失敗や、問題が起きれば、
リカバリーしなければならない。

すると、
無理が生じて、
不祥事や事案に手を染めてしまう……


最後にまとめ


もちろん、
あくまで小説はフィクションですし、
オーバーに描いている部分はあるでしょう。


私は小説を読んでいると、
書いている人はどんな気持ちなのだろう?
と考えながら読むのですが


本当にこういった
似たような事案は
池井戸潤さんは体験したことが合ったのでは?

こんな上司や部下がいたのでは?

本当にこういう出来事や話し合いが
仕事場の裏側にあったのでは?

と勘ぐってしまいます。

そして、

高圧的で出世欲にまみれた人物、
まわりは叱責して無理矢理にでも動かして、
自分の責任はとらずに保身に走る。

など、

こういった人物は必ず、
不正が暴かれたりして、
地獄に突き落とされます。

必ずその報いを受ける展開になります。

憎き上司が、
最終的には叩き落される様子を見ていると、


池井戸潤さんも銀行員時代に
ここで出てくる部下たちのような
嫌な思いをしていたのかなあ、

こうした上司に恨みがあって、

因果応報、
必ず罰を受ける。

頑張っている人には、
必ず救いの手が出される。

といった
勧善懲悪的な内容に描いているのかなあ、
恨みを小説にて晴らしている?
なんて考えてしまいます。

(だいたいこういうヤツは池井戸潤作品では叩き落されるパターンになっています笑)


ここまで古い体質の組織も珍しいですが、
世の中にはこういった環境も在るのでしょう。

やはり働く環境って大切!




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